愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『日本人ですがただいま日本語見習い中です!』ふじいまさこ

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辞典編集部でアルバイトをすることになった、花川ミホ21歳大学四年生。

国語編集、英語編集、新米、部長などの個性的なメンバーと仕事をする漫画です。

 

辞書は常に作り変えられていきます。

言葉は時代とともに移り変わっていきます。

それに対応するためです。

古文と現代文を比べるとわかりやすいかもしれません。

辞典と言っても、実はそれぞれでかなりの個性があります。

(恋外)を聞いてみると、岩波国語辞典では、男女間の恋い慕う愛情、と書かれています。

一方新明解国語辞典では、特定の異性に対して他の全てを犠牲にしても悔いないと思い込むような印象を抱き、常に相手のことを思っては、2人だけでいたい、2人だけの世界を分かち合いたいと願い、それが叶えられたと言ったら喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身をおくこと、と書かれています。

 

日本語と言えば、やはり敬語です。

尊敬語、丁寧語、謙譲語がわかりやすく解説されています。

 

次は漢字です。

バター、チーズ、ソーダ、カステラ。

それらを漢字で書くとどうなるでしょうか。

 

使いこなせると良い日本語もあります。

辛党は、本来酒好きの人のことを指す言葉でした。

冷笑と失笑の違いはわかりますか?

コミュニケーション、シミュレーション、ナルシシストアタッシェケースなどは、正しく表記されない事がかなり多いかもしれません。

 

他にもめじろ押し、引っ張りだこ、おなら、ドロン、銀ブラネコババな他にもめじろ押し、引っ張りだこ、おなら、ドロン、銀ブラネコババなどの語源が紹介されていて、大変興味深いです。

 

日本語は漢字とひらがなとカタカナがあったり、敬語があったりして、とても難解な言語だと言われています。

その日本語を私たち日本人が本当にうまく使えているか?考え直す良い機会になるかもしれません。

 

 

 

 

日本人ですが、ただいま日本語見習い中です! (楽しく学べる学研コミックエッセイ)

日本人ですが、ただいま日本語見習い中です! (楽しく学べる学研コミックエッセイ)

 

 

 

 

『ブッダの言葉』

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『スッタニパータ』などから、ブッダが語った言葉を数多く収録されています。

本書は、シンプルで誰にでもわかりやすいように、と筆者が考えて「超訳」されました。

ブッダの言葉は、もともとシンプルで核心を突く物だと言われています。

『小部経典』、『法句経』、『経集』などからフレーズが選ばれています。

 

目次です。

一 怒らない

二 比べない

三 求めない

四 業(カルマ)を変える

五 友を選ぶ

六 幸(ハピネス)を知る

七 自分を知る

八 身体を見つめる

九 自由になる

十 慈悲を習う

十一 悟る

十二 死と向き合う

 

菩提樹の下で座禅をして解脱したゴータマ・シッダールタは、ブッダになります。

自身が悟った内容は、世の中の欲望や怒りでいっぱいの人々には受け入れられず、理解されないだろうと迷います。

しかし、元修行仲間に説法をしてみて上手く行き、弟子を指導したり悩む人の相談にのったりする活動を始めて行きます。

 

筆者の見解では、ブッダが教えているのは宗教ではなく、心の操縦法やそのためのトレーニング法だとブッダが考えている、という事です。

 

辛いときや苦しいときに、心を平らかにする手助けになるかも知れません。

出来ればそうなる前に読んで備えておくと、さらに理解して実践しやすいと思われます。

 

超訳ニーチェの言葉

超訳ニーチェの言葉

 

 

 

 

『遺書』瓜田純士

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関東連合をご存知でしょうか?

朝青龍事件、市川海老蔵事件、六本木フラワー事件などで一躍有名になったグループです。

本書は、関東連合と近しい間柄にいながら完全には所属せず、また、六本木フラワー事件の原因の一つとなったK兄弟とも近しい間柄にある人物が、書きました。

これを書くことにより誰かに命を狙われるかも知れず、タイトルが遺書、というわけです。

 

著者は、新宿の小学校に通い始めます。

低学年から激しいケンカをする問題児で、時期に新宿にいられなくなります。

転校先の小学校も都心です。態度は改められることはありません。

そのまま中学校に上がり、いくつもの中学校の不良とケンカをしたり、その過程で仲良くなったりします。

 

著者は、中学校から上がる頃に、先輩から関東連合に入るように言われますが、入らない道を選びます。

同年代に関東連合に入る、入っている人が多くいます。

著者と同様に、入らない道を選んだKという兄弟がいます。

そして関東連合、K兄弟グループ、ヤクザになった著者と、それぞれ別の道を歩いて行きます。

ただし、同じ町で暮らしているので、親しい時期があったり、距離がある時期があったりしながら、付き合いは続いて行きます。

 

色々あったのち、六本木フラワー事件が起きてしまいます。

これは、関東連合がK兄弟の弟を襲撃しようとして、他人を撲殺してしまうという、大変痛ましい事件です。

 

アウトローの世界を垣間見る事が出来る一冊です。好みの人には、良い本だと思います。

 

 

 

 

 

 

『死ぬほど読書』丹羽宇一郎 幻冬舎新書

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今のネットの時代に、読書の方が良いと言う点などを紹介しています。

また、生き方よ考え方についても言及しています。

 

 1時情報が最も大事です。問題が起きたらすぐ現場に行き情報を得ましょう。

ネットに出回っているものではもう遅い情報だと考えなければいけません。

 

自分は何も知らない、と言うことを知りましょう。

仕事、読書、人、この3つで教養ないし品格が磨かれます。仕事はお金をもらうためだけのものではありません。

 

本は目次を読んで良い方かどうか判断出来ます。

思うように読めない本は読まないという選択肢も持ちましょう。

読むときには、なぜ?どうして?と考えながら読むと良いです。

何事かを成すときには、本を読んで理論を頭に叩き込みましょう。そしてそれを照らし合わせながら試してみましょう。するとスポーツなども上達が早いです。

 

ガンジーの言葉が紹介されています。

身体の鍛錬、知識の端で、精神の鍛錬、この3つが人間を成長させます。

 

本にお金を使う事は投資と考えられます。

 

読書は楽しいから、面白そうだから、という観点で本を選びましょう。

著名なピアニストに、楽しいから練習しているため努力していると言う感覚がないという人が居ます。

 

もし読みにくいけど読まなければいけない本がある場合は、ポジティブな目標設定をしましょう。例えば仕事を成功させるため、です。

 

問題、悩み、失敗があっても人は死にません。

生きていれば必ずそれは生します。もし読みにくいけど読まなければいけない本がある場合は、ポジティブな目標設定をしましょう。例えば仕事を成功させるため、です。

 

問題、悩み、失敗があっても人は死にません。

生きていれば必ずそれは生じます。答えは必ず見つかります。平坦な何もない人生より、何か起きてそれを乗り越える方が面白いです。問題が起きたことを喜べると良いです。

 

生きている限り、人にはやるべき仕事があります。

 

スランプなんて存在しません。自分の実力と自己評価が離れているだけです。そんな時はただ、解決方法だけを考えましょう。

 

本当のプロは疲れた、無理、などとは言いません。それを乗り越えていくのがプロです。

 

自身に問題がある怒りはコントロールが必要です。

そうでない場合はランニングなどで発散できないか考えましょう。

 

自分の考えや信念を持ちましょう。

 

せっかくなので、読書の成果を最大限にしたいですよね。

そして、読者がより成長出来ると、著者も本望なのではないでしょうか。

 

 

 

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

 

 

 

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

 

 

 

『伊能忠敬 生涯青春の生き方哲学』童門冬二 三笠書房

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日本地図を最初に作成した人物です。

実は伊能忠敬が地図作成のために測量を始めたのは、引退してからなので、当時ではかなり高齢になっていました。

 

千葉県佐原市に、私の祖父の家がありました。

近所に子どもたちが遊ぶような公園があり、そこに大きな銅像が建っていました。

それが伊能忠敬像です。

祖父に記念館に連れて行ってもらったりもしました。

 

伊能忠敬は、跡取りではなく生まれます。

幼い頃は親戚の家を転々とするなど、苦労しながら成長します。

星を見るのが好きで、北極星の観察などで、鋭い視点を見せます。

やがて、佐原市の名家である伊能家に婿養子として入ります。

当時の伊能家はあまり家運が傾いていて、それを立て直すという、簡単ではない使命を追います。

ここで伊能忠敬は、商売の才能、村人を取りまとめる才能、上と交渉する才能など、様々な才能を発揮します。

そして、多くの努力により、見事伊能家を再興させることに成功します。

 

隠居してから、有名な日本の測量および地図作成をします。

時間もお金もかかるのですが、伊能家から文句は出ません。

そこまでに伊能忠敬が、家人のためによく働き、感謝されたいたからだと言えます。

 

何事かを成し遂げるために、前半生で伊能家や佐原のために、大きな仕事をやり切ったように見えます。

そこからすでに、大人物だったと言えるのではないでしょうか。

ビジネス書としても読むことができる本で、多くの人におすすめします。

 

 

伊能忠敬―「生涯青春」の生き方哲学

伊能忠敬―「生涯青春」の生き方哲学

 

 

 

伊能忠敬―生涯青春 (人物文庫)

伊能忠敬―生涯青春 (人物文庫)

 

 

 

生涯青春―伊能忠敬の「生き方哲学」に学ぶ
 

 

 

 

『祇園の教訓』岩崎峰子 幻冬舎

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京都の祇園甲部と言う花柳界

そこで長年芸妓として過ごしてきた著者が、出会ったことや経験したことから得た、祇園の教訓を著したのが本書です。

 

著者は芸妓として15年間毎日数々のお座敷に出ます。

芸妓を引退してから、世間一般で花柳界が誤解されていることに気づきます。

廓と花柳界の違いが理解されていなかったり、娼婦や売春婦と芸妓や芸者の区別がつかなかったり、花柳界を隠微な色里と勘違いしている場合が多いようです。

実際は、家族連れで訪れる人もいる位、健全な場所です。

 

著名な人や一般の人が数多く訪れます。

物静かで謙虚な稲盛和夫さん。

合法磊落な本田宗一郎さん。

義理と人情の人、佐治敬三さん。

黒を顔に出さない塚本幸一さん。

誰に対しても誠実な湯川秀樹先生。

小説のモデルにしていただいた、有吉佐和子さん。

このようなそうそうたる人物と接していれば、自ずと様々なことを学び、成長できる素晴らしい職業だといえます。

 

そこまで一般で有名ではなくても、祇園の値段や紹介により置屋を訪れるというシステムから、立派な人物がお客様として訪れることが多いようです。

 

仕事ができる人は現場が好きだったりします。

はるかのために気を遣って、あえて仕事を誘ったり申します。

一流の男性は、目立たないおしゃれをしている場合が多いです。服装で相手への思いやりをしたりします。

 

靴を見ると相手がわかるといいます。

これは下足番のおっちゃんと言う人がお茶屋さんや料亭には必ず待機しています。

ある時、このおっちゃんがある会社の社長をしているお客様の靴を見て、お医者様に行くようにと進言します。

お客様は、別に体調悪くないのにな、と不審に思いながらも病院に行きます。

すると、肝臓に病気があるということがわかりました。

 

一流の人は、相手の言うことを素直に聞きます。

お金の使い方も上手だったりします。

また子供の教育に手を抜かなかったり、お付き合いする女性を選ぶのが上手だったり、プレゼントのセンスが良かったりします。

 

全てにおいて気を遣うのが、一流になるために良いような気がします。

それだと、少し気がつまるような気もしますが。全てにおいて気を使うのが、一流になるために良いような気がします。

それだと少し気が詰まるような気もしますが。

 

一流の人と接点がなかったり、より良い自分になりたかったり、祇園のことを知りたい人には、様々な学びがあるので、読んでみることをおすすめします。

 

 

祇園の教訓―昇る人、昇りきらずに終わる人

祇園の教訓―昇る人、昇りきらずに終わる人

 

 

 

祗園の教訓―昇る人、昇りきらずに終わる人 (だいわ文庫)

祗園の教訓―昇る人、昇りきらずに終わる人 (だいわ文庫)

 

 

 

 

『メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス』松本大洋

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ある劇団が行なった公演の台本を、物語りにした作品です。

トラックの運転手さん四人が登場します。

 

作者は『ピンポン』や『花男』などの漫画も描いています。

それぞれ独特の雰囲気があって、好きな人は大好きな作品です。

映画化もされています。

 

ラジオ局で放送している場面から、物語は始まります。

そして、トラックの運転手さんたちが登場してきます。

夜のドライブで、ラジオを聴いている様子が浮かんで来ます。

運転手さんたちは、無線でやり取りをします。

取り留めのない話で、何だか本当にありそうな気がしますが、実際はどうなのでしょうね?

 

それぞれの運転手さんが、キザだったり、口が悪かったり、家族に虐げられていたり、個性的です。

そして、タイトルにあるパラダイスは、ドライブインにあるお店の名前です。

ここの店員さんの個性も、相当に強いです。

 

笑うところが随所にあって、ナンセンスなお芝居の気がしますが、何かを考えさせられるような…。

芝居好きの人は、一般の人よりもさらに楽しめるかも知れません。

 

 

 

花/メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス

花/メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス

 

 

 

メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス

メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス