愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『コースアゲイン』北方謙三

 

コースアゲイン (集英社文庫)

コースアゲイン (集英社文庫)

 

 

著者が主人公である私小説のような短編集。

船に乗ってフィッシングをする様子が、鮮明に描かれている話。

よく行くバーでのやり取りや、ボータイの緩め方が印象的な話。

それぞれに人を惹きつける、そこはかとない魅力が漂っています。

 

『老いを照らす』瀬戸内寂聴

 

老いを照らす (朝日文庫)

老いを照らす (朝日文庫)

 

 

作家であり出家でもある、瀬戸内寂聴の著書です。

本書を執筆した当時は、作家生活50年、出家をして34年です。

目や耳が悪くなったり、体に様々な不具合が出て来ます。

そこでも持ち前の明るさで、楽しいエピソードが満載です。

話題は文学、政治、戦争、仏教、老いと多岐に渡りますが、明るく楽しく読めます。

『世界の宗教』

f:id:kazuyoshisan:20190910092449j:image

日本人には、名前は知っていてもしっかりとは理解していない宗教は、たくさんあるのでは無いでしょうか。

そこを本書は解説してくれています。

ユダヤ教キリスト教イスラム教、ヒンズー教、仏教、神道

それぞれの神様、死後どうなるか、戒律、入信するには、信者と結婚するには、など実用的なことも書いてくれています。

一般的な知識は十分身につく一冊と言えそうです。

『日々の会話が華やぐ大和言葉』山下景子 大島資生

 

日々の会話が華やぐ大和言葉 (サクラBooks)

日々の会話が華やぐ大和言葉 (サクラBooks)

 

 

日本語は和語・漢語・外来語・混種語の四つから成立しています。

その中の和語が大和言葉と言えます。

 

頭がきれる

おこがましい

健やかそうで何よりです

なんなりとお申し付けください

 

なるほど大和言葉か、と感じますよね。

 

懇ろ

逢瀬

徒恋

うたかた

たおやか

彼は誰時

 

おお、という気がします。

大和言葉で書いた手紙の例文もあり、とても良い雰囲気です。

使いこなせたら、かなり上品な言葉使いになれそうです。

『マンガ獄中面会物語』片岡健 塚原洋一

 

マンガ 「獄中面会物語」

マンガ 「獄中面会物語」

 

 

世間を騒がすほどに報道された殺人犯に面会して、得られた証言や印象を書いてある著書です。

登場人物は、みんな死刑判決を受けています。

すなわち、2人以上の人を殺めています。

 

人と異なる正義感で、今でも自分の犯罪が正しいと思っている者。

精神異常だが、判決の際に疾患は犯行と関係ないとされた者。

生い立ちや境遇により、人格が歪んだのではないかと考えられる者。

 

著書から見ると、極悪人だと思われる犯人はいなかった、という感想はとても貴重かも知れません。

 

マンガ「獄中面会物語」 (カルトコミックス)

マンガ「獄中面会物語」 (カルトコミックス)

 

 

 

 

 

 

『熔ける』井川意高

 

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 (幻冬舎文庫)

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 (幻冬舎文庫)

 

 

  

大王製紙の元会長である、井川意高の手記。

カジノでの負けを自らの会社から補填した、という容疑で逮捕されて実刑判決を受けた。

その金額は100億以上にものぼる。

 

カジノで48時間、何も食べずにバカラに没頭する様子などは、読んでいてジリジリするような感覚を覚えました。

途中芸能人とのやりとりなどが出てきて、趣旨がわからなくなって、残念に感じました。

しかし、結びの部分で回顧録のような手記だ、と記載があったので、まあそんなもんかと納得しました。

 

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録

 

 

『国語の力』出口汪

f:id:kazuyoshisan:20190903135530j:image

国語の力。

言い換えると、日本語の力です。

自分の思いや考えを相手に伝える時に、とても大事です。

反対に、相手から何かを汲み取る時にも、とても大事です。

物語は小学生の兄妹が成長していく、というあらすじです。

それぞれで国語の力に差があり、この力は大事だな、と感じられる内容になっています。