愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『みんなのたあ坊の賢人訓 中国編』サンリオ辻信太郎

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愚公山を移す:不可能に思えてもやり続ければいつかは成し遂げられる

 

天知る地知る我知る人知る:悪事は必ず発覚する

 

瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず:疑われる事はしない

 

己の欲せざる所は人に施すことなかれ:孔子が子貢に聞かれて答えた、一生守るに値する言葉

 

明鏡止水:よく磨かれた鏡と止まった水のこと。こんな心境になれば冷静な正しい判断ができる

 

中国の古事成語は、国語や古文でも出てくるので、すんなり入って来ますね。

 

『林修の仕事論』林修

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いつやるの?今でしょ!

林先生の仕事感を語っているのが本書です。

 

依頼された仕事はやってみる

 

まずは一流を目指す

 

不合格になる理由はすべて実力不足

 

仕事失敗の理由は三つ

情報不足

慢心

思い込み

 

敵の倍以上の戦力があれば負けない

相手は仕掛けてこないから

 

相手に食事を振る舞うのは勝負だと心得る

 

ストイック。

そんな言葉が浮かんだのですが、無理なことや辛いことを奨励しているわけではありません。

考えると当たり前のことばかりなのですよね。

それをちゃんと考えて続けているのが、素晴らしいことなのかも知れませんね。

 

『人をつくる読書術』佐藤優

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こんな人を作るには、こんな本を読むと良い。

そんな提案を本書はしてくれています。

 

外交官

『鏡の国の戦争』

『寒い国から帰ってきたスパイ』

カラマーゾフの兄弟

 

教育者

『論理的に考え、書く力』

 

キリスト教

塩狩峠

『沈黙』

 

知識は人を作る大きな要因です。

何を読むか、さらにいうとそれで何を考えるか、どう読むか。

それで確かに何かが作られるのでしょうね。

『100分de名著 ロウソクの科学 ファラデー』吉野彰

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リチウムイオン電池開発の貢献により2019年にノーベル化学賞を受賞した、吉野彰氏が著者です。

リチウムイオン電池は電気自動車にも搭載されていて、化石燃料に依存しない社会実現の可能性を秘めています。

ファラデーは、クリスマスに子供たちへレクチャーをしました。ロウソクの化学は、それを書籍化したものです。

ろうそくは水素と炭素でできています。

それが燃えると、水素は水になり、炭素は二酸化炭素になります。

なくなったように見えますが実際は存在しています。

 

表面張力=液体や固体が表面を小さくしようとする力、これにより水滴は丸くなります。ろうそくの芯の中でもこの働きがあり、溶けた蝋が管を上ってきます。

 

何かで新しい結果が得られた時、必ずその原因を考えるようにする

 

常に疑問を持つ

 

ろうそくの炎の青色は、化学物質の色である。高温だから青いわけではない

 

ろうそくの炎に温められ上昇気流が生じる。それにより炎は雫形になる

 

常識には条件がある

それが外れたら?

非常識なこと、大発見が起きるかもしれない

 

常識は超えるには

1、常識を理解する

2、常識が成立する条件を把握する

 

実てもいない人間が頭を垂れるな

尖っていて良い。そういう人がブレイクする

 

サスティナブル:環境保全しつつ維持できること

 

地球環境問題

環境、経済性、利便性

現在はそれぞれ3つが対立してしまっている

 

完全にある事実は、絶対に否定しない

 

常識を超えていくための条件なんて、考えたこともありませんでした。

著者は論理的にそれを説明しています。

それがあってこそ、大発見が出来る、ということなのでしょうね。

 

 

 

『マンガは哲学する』永井均

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一気読みしました。

岩波書店の著書を、こんなに引き込まれてあっという間に読むのは、小説以外だと初めてかも知れません。

著者は大学で哲学を教えたり、倫理学も修めている、知恵者です。

にも関わらず、まえがきの出だしから、

私はまじめな話がきらいである。

と、ぶちあげます。

 

全編にマンガの引用があり、頭に入ってきやすいです。

マンガを読みつつ、哲学者の解釈や講義を聞いているような感覚です。

そして、その講義がとても面白い。

 

「王様は裸だ!」と叫んだ子どもは、まわりの進歩的な大人に比べて、あまりに保守的であっただけだという可能性がある。

 

私には、宇宙の中に地球という惑星があって人類の歴史があり日本という国があるといった「現実」のほうが、荒唐無稽なつくり話のような気がしてならない。

 

数々の有名なマンガや、あまり知られていないマンガ。

子どもの頃に読んで意味がわからなかったけど、本書を読んでもう少し分かったことがある、ような気がします。

本当に深遠なんですね。

マンガも読みたくなるし、本書も時間をおいてまた読みたくなるし。

とても豊穣な時間でした。

『やさしい歌舞伎』

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一度だけ歌舞伎を見に行ったことがあります。

正直な感想は、よく分からない、かも知れません。

たしか狂言も一緒に見て、それは面白いと感じることが出来ました。

 

三人吉三

白浪五人男

義経千本桜

菅原伝授手習鑑

 

まで読んだところで、自分が見たのは車引だったと、わかりました。

やはり色々なルールを知っていると、さらに楽しめるのですね。

洋楽を聴くようなものだという例えも出てきました。

メロディーやリズムだけでも楽しめますよね、と。

さらに歌詞と内容までわかると、もっと楽しめるのに違いありません。

歌舞伎もたしかに同じなようです。

『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子

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2018年のベストセラーです。

小説を書く教室に通った著者は、63歳という二番目に高齢での記録で芥川賞を受賞しました。

 

夫に先立たれた70半ばの桃子さんは、一人で暮らしています。

ネズミが騒がしい家の中は、それで寂しさを紛らわせるけど、やはり直接は顔を合わせたくありません。

物語は、桃子さんの頭の中で喋る複数人の桃子さんの対話、というか論争?がメインで進みます。

いつからかこのような人たちが、頭の中に住み着いた、ということでしょうか。この人たちは、永らく自身が使っていなかった、東北弁で話します。

 

高齢になると、頭も体も完璧に自分でコントロール出来なくなります。

どのようにそれをある程度の範囲でコントロールするか、折り合いをつけるか。

 

無くなった旦那さんを、桃子さんはとても大切に思っていました。

いまでも後悔があります。

もっと、してあげられたことがあったのでは無いか。

 

ほとんど全編を、桃子さんの頭の中で起きている事が占めます。

読者がある程度の年齢に達していたら、とても共感しやすいのではないでしょうか。

若かったり健康だったりすると、本当の意味でこの話は、わからないかもしれません、