愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『文部科学省』青木栄一

三流官庁と呼ばれているんですね。

初めて知りました。

財務省は七万人、法務省は五万人を超える職員を要するが、文科省は最少の二千人そこそこしかいない。

教育は国力の礎だろう。

子どもたちがどんな大人、日本人になるかに直接関わっているのだから。

ここを大切に出来ないのは本当に危険だ。

そして財務省が大切ということは、国としてお金を大切にして人の中身は軽視しているということに他ならない。

実に危うい状況で、背筋が寒くなった。

『世界を動かすイスラエル』澤畑剛

イスラエルはユダヤ人の国だ。

長年世界に散らばっていたユダヤ人が再結集して建国された。

旧約聖書の時代には、そこはユダヤ人の国であったので、民族の悲願であったと言えるだろう。

さて、ユダヤ教とキリスト教には親和性がある。特にアメリカに多いキリスト教原理主義者は、共感できるところが多いようだ。

だから今も、イスラエルとアメリカは、イラン相手に共闘することが可能なのだ。

現在は様々な意味で国同士の距離が縮まっている。

だから日本もこれらの動きに無関係ではない。

イスラエルは日本よりもかなり小さい。

それでも世界を動かす力がある。

『檻の中の裁判官』瀬木比呂志

裁判官は世間知らずだと聞いていたが、まさかここまでとは。

判決を歪めないために、事件に関係する人たちと知り合いにならないようにする、つまりなるべく知り合いを作らない、などはわかる。

しかし、別の方向でも世間知らずはある。

出世していくと、天下りも含めて生涯年収が7から8億円になる。

そんなに不当な収入を得て、他者の状況や心情がわかるものだろうか?

また、出世のためになるような判決を下しがちだともいう。

こんなふざけた話が許されて良いのだろうか。

裁判官はAIでいいんじゃね?

という意見が出るのは、至極もっとだろう。

それがベストとは言えないが、現状ではベターな気がしてならない。

実に恐ろしいことである。

『寿命遺伝子』森望

人間の寿命は120歳までと、何かで聞いたことがある。

各臓器の寿命などを考えるとそんなものか、と何となく感じていたのが、本書でさらに腑に落ちた。

細胞分裂のたびに染色体が短くなって行き、ある程度までで分裂が出来なくなる。

それが寿命ということだ。

不老不死はかなり昔から人類が望んできたものだ。

しかし、なかなか手に入らずにいる。

それはそうだろう。

諸行無常なんて昔からわかっていたこと。

『記憶喪失になったぼくが見た世界』坪倉優介

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大学生が交通事故に遭って記憶喪失になった。

記憶喪失にも程度や症状が色々あるようで、本書の主人公は、一般的に思われているそれよりも恐らくかなり重い。

家族を忘れたり、知人を忘れる。

それは想像がつくが、さらに忘れていることがかなりある。

電線がわからない。

ご飯がわからない。

満腹がわからない。

文字がわからない。

それじゃ、生活できないじゃないか。

その通りだった。

そんな主人公は哀れに思われることを辛く感じる。

わからない事を聞きすぎて、鬱陶しがられる。

見た目は普通なのも、また厄介だ。

何も知らない子どもが大人になったようなものだろうか。

それでも生きていかなければならない。

だから何とか成長していく。

生きるというのはままならない。

そのことがとても良くわかる。

 

『ゼロの焦点』松本清張

結婚直後に相手が失踪してしまったら。

真相を是非とも知りたいとは、みんな思うだろうけど、果たして何が出来るのか。

今ならスマホとSNSを駆使して、もしかしたら真相に近づけるかも知れない。

しかし舞台は昭和。

それでも淡々と謎を解いていく主人公は、何とも気丈なうえに優秀だ。

それにしても、新婚早々なんですよね。

何とも痛ましいことです。

『緋色の研究』コナン・ドイル

ホームズもしてやられることがあるんですね。

それは事件ではないのですけど。

無能な刑事に手柄を横取りされるなんてね。

それでもワトスンが知っている。

だから我々読者も知ることが出来た、というわけですね。

なんともお互いにありがたいことではないでしょうか。