愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『斎藤孝の天才伝 夏目漱石』斎藤孝

近代日本の小説で、あらゆる物を書いた、と言われている夏目漱石。 本書はその天才の人生や行動を振り返り、実像を浮かび上がらせています。 留学をしたが、傍目には失敗の成果しか得られなかったこと。 ずっと小説を書きたかったが、そうも行かずに教師で糊…

『変身/掟の前で』カフカ

フランツ・カフカの名作です。 著者は圧倒的な評価を受けることが、しばしばあります。 その登場前と後で、小説というものが変わった、とか。 以前マンガで読み、他の訳でも読み、形を変えて三読目です。 主人公がある朝目覚めたら、大きな虫に変身している…

『いつやるか?今でしょ!』林修

タイトルはあまりに有名な、あの言葉です。 予備校講師の著者が、予備校生に向かって問いかけます。 「いつやるの?」 「今でしょ!」 やらなければいけないこと。 やろうと思ったこと。 全部、今すぐ始めた方が良い。 勿体ないけどどうしようかな、というこ…

暑すぎる

今週のお題「暑すぎる」 スコールと呼んでも差し支えの無い夕立ちが降るようになって、どれくらいたつだろうか? 年々暑くなっているのは間違いない。 日本は亜熱帯になったという説があるが、全面的に賛成である。 ウチの職場の一部門は、エアコンの設定を1…

『山上の説教』

新約聖書の中に、イエスが人々を集め、山上で説教をする部分があります。 ある意味では聖書の根幹をなす部分とも言われ、とても有名です。 本書は、そこを抜粋して解説しています。 5.幸い 心の貧しい人、悲しむ人々、柔和な人、義に飢える、哀れみぶかい、…

『ロマ ジプシーと呼ばないで』金子マーティン

ロマ、とは聞き慣れない言葉かも知れません。 では、ジプシー、と言えばどうでしょうか? そちらは馴染みがある人は多いはずです。 しかし、これは特定の人種を指す差別用語だということは、知らないままに使われているようです。 そして現在は、死語にされ…

『近所がうるさい!』橋本典久

近隣とのトラブルで、騒音によるものがあります。 たかが騒音というのは早計で、ピアノの音から殺人に至るという事件が、1974年に起きました。 それ以来数々のトラブルが、あちこちで起きています。 階上の住人による、足音などの騒音。 ペットの鳴き声。 カ…

『0円で生きる』

生活するには、様々なことにお金がかかります。 着るものから、食べるもの、住む場所まで、それこそありとあらゆる物、全てにお金が必要です。 しかし、実はそうでは無い方法もあります。 本書では、お金を使わずに生活していく、様々な方法を紹介してくれて…

『まんが世界の歴史9』

19世紀、イギリスはヴィクトリア朝と呼ばれる、最盛期を迎えていた。 世界各地に植民地を拡大し、大英帝国とも呼ばれていた。 イギリスはアヘンを清に輸出し、茶葉を輸入していた。清がアヘンを拒むようになり、アヘン戦争が勃発した。 結果はイギリスが勝ち…

『すらすら読める徒然草』中野孝次

『徒然草』 国語で習ったため、誰もが知っている著書です。 気の向くままに書いたエッセイで、著者は兼好法師です。 今で言う早期リタイヤをして、自らの思い定める道の習得を目指した人です。 古典に一般読者が近づくには、好きな部分を適当に読み、一言半…

『教誨師』堀川恵子

教誨師、という仕事があります。 死刑囚を相手に一対一でお話をする、というものです。 誰でもなれるというわけではなく、僧侶や牧師さんなどの、聖職者です。 ただ死を待つだけのために生きている死刑囚を、改心したり心安らかに過ごしたり、何事かを与える…

『原爆詩集』

原爆が数十年前、日本に落とされたのですよね。 広島と長崎と、計2発。 被曝は物凄く悲惨なものでした。 一瞬で数多くの人々が死にました。 さらに数日のうちに、多くの人が死にました。 これでも終わらず、どんどん死者は増え続けます。 そして、未だに原爆…

『旅人よ どの街で死ぬか』伊集院静

作家である伊集院静氏の、旅についてのエッセイです。 著者は一人で旅をすることが、しばしばあるそうです。 どうするかなどは決めず、それは向こうから勝手にやって来る、と。 だから、人は一人で旅に出てみると良い。 この街で死ぬ、ということが旅人には…

『100分で名著 善の研究』西田幾多郎 若松英輔

西田幾多郎氏の名著である『善の研究』を、若松英輔氏が解説している著書です。 哲学とは英知を愛することです。 西洋哲学は論理で証明します。 西田の哲学は直感、直覚の意義です。理と言うものは言語に表し得るべきものではない。 至誠とは、涙によっても…

『魏志倭人伝・後漢書倭伝・宋書倭国伝・隋書倭国伝』石原道博編訳

魏志倭人伝。 外から見た我が国についての、最も古い記載だと、歴史の授業で習いました。 本書で我が国は、倭国と呼ばれています。 唐の時代から、日本と呼ばれるようになります。 倭国は東南大海にあり、山島の地。 百余りの様々な国がある。 男は顔や体に…

怖い話「指紋認証」

「次女が私のスマホをいじっていたらさぁ、なぜか指紋認証でロックが解除されたんだよ!」 次女は愛敬のあるキャラで、たびたび不思議なことをしでかします。 「まさか、そんな事ある!?」 笑い話のように話す妻に、私も笑いながら答えました。 もし、これ…

『きれいなお城の怖い話』

小学生の頃、まんが世界昔で『青ひげ』という話を見たことがあります。 ある城に、青ひげ、と呼ばれる城主が住んでいました。 そこのお城に奉公に行った子どもが、なぜか帰って来ない、ということが続きました。 その結末は、青ひげが子どもたちを惨殺して、…

『お金に愛される生き方』

やはりお金は大事ですよね。 お金は多く持っていたり、少なく持っていたりと、様々です。 そこをいかに変えるか? もしくは、変わらないとしたら、いかに付き合うか? 本書では、それぞれの方法を解説しています。 お金が足りなくならないようにするには、収…

『見事な死』

人は必ず死にます。 その人の生き方は大事ですが、死に方もとても大事です。 本書では、生き様は知られている様々な著名人の、死に様を紹介しています。 著者は、各著名人の近親者で、実際に死の間際に接していた人たちです。 ジャイアント馬場氏から高円宮…

『世界恐怖旅行』

著者は若い女性です。 本書はその若い女性が、通常では行かなかったり、やらなかったりして過ごすであろう海外の生活を、どんどんやる、というコンセプトの著書です。 ロシアのマフィアと思しき人のナンパに途中まで付き合い、途中で逃げる。 ゴーゴーバーで…

『世界のビジネスエリートは知っているルーヴルに学ぶ美術の教養』木村泰司

絵画は見るものではなく、読み解くもの。 本書はルーヴル美術館の絵画から、国や時代を代表する作品を選び、読み解く方法を解説しています。 歴史画、宗教画、神話画、風景画、静物画などが、西洋画にはあります。 それぞれ、聖書や神話や建築や考古学まで、…

『イワン・デニーソヴィチの一日』ソルジェニーツィン

ソビエト連邦共和国。 当時の体制は、言論や行動の自由は無、でした。 そんな中、主人公のイワン・デニーソヴィチは、ラーゲル、つまり刑務所に入れられてしまいます。 極寒の地での刑務所暮らしは、実に過酷を極めます。 本書はその一日を、細部に渡って記…

『山中伸弥先生に人生とiPS細胞について聞いてみた』

ノーベル賞受賞者の山中伸弥先生が著者です。 自身の半生を交えつつ、iPS細胞や研究について解説しています。 患者さんを救うために、著者は医学部に入りました。 ところで、医者は患者さんを診療する臨床医だけでなく、新しい治療や薬を開発する研究者もい…

『宇宙兄弟』小山宙哉

以前、映画で実写化されたことがある作品です。 この絵を見て、キャストがそっくりだったのを思い出しました。 舞台は2025年。 兄のムッタが主人公の物語です。 弟のヒビトは宇宙飛行士として、来年は月に飛び立つことになっています。 一方でムッタは、上司…

『上を向いてアルコール』小田嶋隆

コラムニストの著者が本書を執筆したのは、62歳のときです。 断酒して20年経ったそうです。 サブタイトルにもありますが、元アル中です。 本書のテーマはアルコール依存症。 著者はこのテーマについて考えるのが嫌で、ずっと避けて来たそうです。 これだけの…

『名文を読みかえす』馬場啓一

著者はエッセイや小説を執筆する、文章のプロです。 そのプロが、様々な作家による文章の特徴的な部分と、その良さを解説してくれます。 山下清の文章の丁寧さ。 素晴らしいのは、絵だけではありません。 プロジェクトXでは、文章を「た」で必ず終わらせると…

初めてのペアルック

初めてのペアルックはTシャツでした。 そんなことは恥ずかしくて、とてもじゃないけど無理!と思っていました。 しかし娘が生まれて2歳になった頃、妻が勧めてきた広告を見て、思いがけず目を奪われてしまいました。 「欲しい…」 そこには、親子用のペアル…

『浪花のシャブ外道』木佐貫真照

覚醒剤を売買してしのぐアキ、主人公は著者で、ヤクザです。 鹿児島から、ヤクザをするために大阪へ移住します。 そこで所属したのが、覚醒剤の密売組織です。 もともとヤクザになるために来たので、どんどん悪事に手を染めます。 当初は売買をするだけだっ…

『イソップ寓話集』

イソップ寓話集。 言わずと知れた、子ども向けの物語集です…。 では、ありません! 実は、かのソクラテスも愛読していたほど、歴史があって、ためになる、大人向けの書物なのです。 その証拠に、本書は岩波文庫から出ています。 かなりの数のお話が集まって…

『ある日突然オタクの夫が亡くなったら?』

幼い子ども二人と夫婦。 まだ40代の夫が、朝になっても起きてこない。 見に行くと心臓も呼吸も止まっていた。 この話は、本当にある日突然オタクの夫が亡くなってしまう、といあところから始まります。 まだ40代の夫が亡くなるのは、家族の誰もが想定してい…