愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『くらしのための料理学』土井善晴

未開の民族が新しい文明食に出会うことで、たくましい民族の精神と肉体を失ったと言う無数の例がある 長い目で見ると日頃の食が人生に関わる 広い目で見ると、資源の無駄遣いは地球に負担をかける。 手を抜くのではなく「要領よくやる」「力を抜く」 日本人…

『日本一小さな大大名』

大名は石高がどれだけあるかで決められていました。 現在の収入のようなものです。 それによりある種の義務や特権が生まれたりします。 ところが、そんな規定を飛び越えて大名だった家がありました。 誕生したのは男女間の事情からという、何とも人間臭い理…

『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー

考えうるあらゆるタイプの人間が、自らの誇りをかけてぶつかり合いを演じる、カーニバル的空間 物語層:プロット(筋) 自伝層:自らの人生から何をどう切り取り、意味付けているか 歴史層:作者の歴史認識を示す。文化的基礎を反映 象徴層:複数の原理の対立と解…

『花柳界はこんなところでございます』西川ぎん子

本当にわからない非日常の世界だからこそ、私たちのような一般人には興味がわく場所なのですよね、花柳界。 人と人として接する、お酒を飲む場所だからなおさら気を使う、楽しむだけでなくよく振る舞う、などなど。 特殊な場所だからこそ、それなりの気遣い…

『あなたのすぐそばにいる中国のスパイ』

もともと中国では、かなり頻繁に王朝が入れ替わっています。 私たちが世界史で習った通りですが。 そうすると、やはり権謀術数は相当発達するのは理にかなっているでしょう。 さて、今の中国は中国共産党が、大多数の中国人を支配しています。 現代は国際的…

『キラキラネームの大研究』伊東ひとみ

今時の小学生は、まあ、すんなり読めない名前が多いです。 もはやクラスの半数以上がそうかも知れません。 だとしたら、もはやそれが普通で、キラキラネームという言葉はいずれ無くなるのかも知れません。 ともあれ、それをかなり詳細に調べて、歴史なども研…

『8大法則でたちまち美文字』

とめ、はね、はらい 横線は3種類 右上がり、右下重心 右払いの上に空間 直線をしっかり 口は横に飛び出し、日は縦に飛び出す 横線のうち一つを主役として長く へんとつくりのバランス やはり綺麗に描きたいですよね。 日本語は綺麗に書くと映える文字な気が…

『わすれられないおくりもの』

誰かが亡くなったら、周りの人はきっと悲しむでしょう。 そしてお通夜などで故人を偲んだりします。 そんな時に、その人たちはどう思うか? 何を思い出すか? それが故人の生き様によって、大きく変わるのでしょうね。 もっと言うと、実はすぐに思い出せない…

『最初に夜を手ばなした』柊冬華

病気により、視力が落ちたり視野が狭くなったり、進行に伴って様々なことが制限されていく著者。 その中でも、出来ることをしたり、出来る方法でしたりと、常に前向きです。 我々が歳を重ねたりするのと、ある種同じなのかも知れませんね。 著者に言わせると…

『羽生の一手詰』羽生善治

一手詰です。 詰将棋は本当に趣味の世界になるでしょうけど、この本に出てくる一手詰なら、そこまでのマニアでなくとも手が出しやすいはずです。 答えが一つというのも気持ちが良いです。 クイズのような感覚で、将棋を齧る程度の人にはスイスイ楽しく取り組…

『悪魔くん』水木しげる

「エロイムエッサイム」 この言葉だけ聞いたことがある人は、いるのではないでしょうか。 実はこの呪文は『悪魔くん』の主人公である天才的な頭脳を持つ少年が、悪魔を召喚するのに使う物なのです。 著者は『ゲゲゲの鬼太郎』を描いた水木しげる氏、昭和の時…

『チベット問題』山際素男

共産党の中国に攻め取られたチベット。 そこには原初の仏教を脈々と受け継いだ人たちが、苦しめられながら暮らしています。 宗教的な指導者であり、国家元首でもある、ダライ・ラマ師との対談から本書は始まって行きます。 師は数十年前にやはり中国共産党に…

『白痴』ドストエフスキー

ロシア文化の多重点 サスペンス(原義は「宙吊りにすること」) マリアとの夫婦愛は既に冷め切っていました。しかし、かつて熱烈に愛した女性への慈しみが完全に消え去るをことはなかった。 自虐的な女をあえて演じて見せようとした彼女の真意 →マゾヒズム 原…

『悪霊』ドストエフスキー

使嗾(しそう):自らの手を汚さず、人をそそのかして、自らの願望を実現しようとする行為 神の地位を伺い、名を語る悪魔にとり、理想的な犯罪 イワン・シャートフが結社からの離脱を宣言 →残りのメンバーが不安に駆られ対処法をめぐり議論する。 シャートフ…

『100分de名著 万葉集』佐佐木幸綱

言霊信仰:万葉人は(言)と(事)は重なると考えていた。 「豊作だ」と言う→豊作がやってくる。 日常語より歌の形がより威力がある 見れど飽かぬかも:今、ここを称えるフレーズ。 歌は「歌われた」可能性もある。 琴の伴奏、ラップ形式などなど 陽気、おとぼけ、…

『未成年』ドストエフスキー

一人称告白体:主人公以外を詳しく語れない ロシア人にとり放浪は宿命 放蕩もロシア的精神、価値観の宿命 ロシア人には自分の秩序が何より大切

『ともに生きるための演劇』平田オリザ

多様な価値観が存在すると、お互い「わかりあえない」ことが大いに起こり得る。 →それを前提として「多様なまま」共に生きよう! 日本の若者は「世界一現状に不満がなく、未来に希望を持っていない」と言われている。 「哲学」や「演劇」は、対話の訓練にな…

日記

今週のお題「日記の書き方」 小学生の頃からずっと、日記を毎日書き溜めている。 その数はもはや数十冊に及ぶ。 と聞いたら、わたしは多分ひいてしまう。 もちろん自身は書いていない。 ブログは日記だという人もいる。 しかし、公に向けて見えるように書く…

『サッカー守備解剖図鑑』岩政大樹

(「寄せる」+「止まる」この止まるが超重要) 前重心 母指球重心 背筋をまっすぐ 練習方法 トップスピードで走ってピタリと止まる。 骨盤に股関節をはめる (バランスボールに座るようなイメージ) お尻を落とさず、膝を少しだけ曲げる 「後の先」どっしり構え…

『罪と罰』ドストエフスキー

聖書を引用しながら語っている。 マゾヒズムが、人間の情念がはらむある根源的な部分に結びついていた。 意識の物語と運命の物語に分岐していく 神の黙過=神の沈黙 ドストエフスキーはヤハウェではなく、イエスと共にあることを信仰の礎とした。 「象徴層」…

『日本人が知らない「怖いビジネス」』門倉貴史

怖いビジネスって何でしょうか? それは違法なビジネスです。 違法とは、どんな種類のものでしょうか? それらの様々なものを本書は紹介しています。 中には合法なものもありますが、限りなくグレーであったり、ダークであったりします。 子どもの売買 個人…

『名著ではじめる哲学入門』萱野稔人

ヨーロッパの哲学では、(神)を世界の究極原因と言う意味で使用することがある。 世界は人間のためにあるのではない。 人間の存在には何の意味もない。 人間には「他人を従わせたいと言う欲望」がある そこから国家の原型ができるのは不可避。 ナショナリズム…

『フェミニズムがひらいた道』上野千鶴子

自らの経験を再定義するための、言語資源を入手しよう。 左翼の日本共産党に失望した人たちが、新左翼を作った。 欧州でもスターリン支配に失望した人たちが、新左翼を作った。 平塚らいてうは事実婚について宣言し、自身もそうした。 性差別は人種差別より…

『闇に魅入られた科学者たち』

フランケンシュタインの正式タイトルは 「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」 プロメテウスの火は 「人間の手に余るときに危険極まりないもの」 1994年ピロリ菌が胃炎や胃潰瘍の原因になると言う仮説を証明するため、学者は自ら菌を飲んだ…

『永遠平和のために』カント

常備軍はいずれ、一切廃止されるべきである。 戦争それ自体は、特殊な動因を必要とはしない。 戦争は名誉心に鼓舞されて起きる。 東インド会社では商社の支店を設けると言う口実で、軍隊を送った 日本と中国はこのような訪問者に賢明な対処をした。 戦争を起…

『マル暴』櫻井裕一

マル暴とは、暴力団を担当する警察の部署を指します。 本書はそこに所属して大活躍してきた元刑事による、回顧録のようなものです。 度々写真が出てくるのですが、暴力団よりも暴力団のように見えるのが印象的です。 その理由は明確で、暴力団と対峙するには…

『鉄道で行く 世界をめぐって人を知る旅』関口知宏

リュートは、弦が19本ある ゲーテ「父はリュートをひいていたが、調弦しているところしか聞いたことがない」 ベルリン郊外の駅:連行されたユダヤ人の人数と行き先がプレートに刻まれている。 ドイツ人の家は都会でも地方でも綺麗で整然としている。 スペイン…

『はだしのゲンへの手紙』

戦争はいけない。 言葉では分かっているのですが。 また、ある程度の感覚で分かっているケースもあるかも知れません。 それでも、実際に経験して戦争をいけないというのとは、全く異なります。 それでも私たちは、戦争の悲惨さを理解して止めていかなければ…

『量子論』ニュートン編集部

本当に不思議なんですよね、量子の世界。 普段の生活とは全く違う常識というか、ルールで成り立っているように見えます。 壁などを幽霊のように透過していったり。 波のようだったり。 それでも確かに実態はあったり。 本当に不思議なのですけど、量子の世界…

『稲川怪談』稲川淳二

やだな、怖いな、やだな。 テレビでよく見たことのある、あの稲川淳二氏の怪談が、書籍になっていました。 語り口の怖さとまた違った怖さが、文章から立ち昇る気がします。 やだな、怖いな。