愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

同じものを見て同じ音を聞いているのに

西加奈子さんの文章で、ある若い年代の頃はオノマトペで溢れていた、というような物がありました。

ガラガラ、さらさら、ツンツン、グワーッ。

確かに自分にも覚えがあります。

北海道に住んでいた、学生の頃です。

キャンプで横になって夜空を眺めていたときに、ヒューッと言う音とともに流れ星が流れていったこと。

たまに行くカフェの店員さんはツンツンしていたし、冬は雪がしんしんと降っていました。

雪が降っていなくて人も歩いていない夜は、キーーーーーンといつまでも耳の中で、清潔で冷たい音が鳴り響いていました。

 

大人になった私たちは、しんしんと降る雪の音を聞いてはいても、もったいない事に聞き流しているのかも知れません。

ソロリソロリと歩いている猫の足音も、ペキペキという足元の小枝が折れる音も。

 

たった今私から出たくしゃみの音は、iPhoneのシャッター音と全く同じでした。

これが良いことなのか悪いことなのかは良く分かりません。