愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

最愛の相手に捧げられる物がありますか?

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ある作家さんの奥さんが体調を崩して病院にかかりました。その結果、余命数年の状態であることがわかりました。

それを知った作家であるご主人は、毎日一話、短いお話を奥さんのために書くことに決めました。

それもただ奥さんのために書くだけではなく、作家として読者に対してしっかりしたお話を書こう、つまりちゃんとした作品を書こうと決意して創作を始めました。そうしてできた作品集です。

 

帯を見て、泣ける本なんだろうなと思いつつ読んでいきましたが、私はさっぱり泣けませんでした。

ただし、良くない本だったと言う意味ではないです。むしろ、とても面白く読むことができる本でした。

もともとご主人が、病気になってしまって奥さんを励ますために書いた作品集です。

そのため、お話し自体が涙を誘う物ではありません。

帯に書いてあるように泣ける話を期待して読むと、予想と内容が違うと感じてしまうかもしれません。

 

作中では、 創作したお話だけではなく、奥様とのエピソードや、日々感じたり考えた事などが綴られていきます。

全体を通して淡々としていて、清々しさのようなものを感じます。

日々奥さんが弱っていく中で、文章にはしていないけれど辛いことや葛藤などが、きっとたくさんあったのだと思います。その辺を想像していくと、とても味わい深い作品だと思います。

泣けたと言う人は、感性が豊かな人のはずです。

カズレーザーさんは、きっと素晴らしい人なんでしょうね。

 

読み終わってから、妻が同じような状況になった時に、私は何を捧げることができるだろう?と考えさせられました。