愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『限りなく透明に近いブルー』村上 龍

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1970年代に発表された作品で、ご存知の方も多いかもしれません。

当時の作者は、二十歳そこそこ。ちなみに私は、ほぼ生まれたてです。

 

主人公は基地の街で退廃的な生活をしています。ヒロポンなどを使用している女性と同棲して、その女性から訳の分からない人達と言われる様なお友達と、相当如何わしい乱れたパーティーをしたり、様々な種類のドラッグを使ったりします。

かなりドロドロしてどぎつい印象になりそうですが、物語は淡々と進んで行きます。

描写が綺麗だからなのか、主人公がサラッとしているからなのか、それとも別の何かなのか。

 

実はこの物語を読むのは2回目です。

1回目は20年前で、最後までは読めませんでした。この作者の作品は好きで、かなりの数の著作を読んでいたのに、です。

当時二十歳そこそこだった私は、酪農家に泊まり込み、朝から4時に起きて牛の世話をして夜8時に寝るという生活をしていました。周りには何の店も無く、隣の家までさえ車で無ければ行けないという、何の娯楽も無い場所でした。

 

全て読み終えてから、1回目で読めなかったのは無理もなかったと思い当たりました。

同じあまりに境遇が違い過ぎたためです。

今も似たような境遇ではありませんが、楽しく読めました。

20年前とは、私自身の何かが変わった、という事なのでしょう。