東京の下町、浅草フランス座で芸人としての道を歩み始める著者。
大学を中退してエレベーター係りとして働き始め、そのうち舞台に出てコントなどを演じるようになります。
深見千三郎という師匠のもと、厳しく愛情を持って弟子として育っていきます。
ストリップの間にコントなどの舞台があります。著者は舞台だけではなく、ストリップの裏方としても働きます。
仕事が終わったら、師匠に寿司などに連れて行ってもらったりします。
そこで師匠はお店の人に丁寧に対応して、心付けを渡したり、とにかく気を使います。一方で弟子には、早く食え、いいもんを頼め、と厳しいです。
しかし、何かを学ばせようとしているようにも見えます。
小上がり席のお店を出る時、下駄箱から師匠の靴を出しました。店を出てから怒られます。
隣にあったハイヒールを出せ、と。
劇場だけでは無く芸人の生き方を教えていたのかも知れません。
著者はそのうちコンビを組んで、他の劇場でも漫才などの活動を始めます。
やはり芸人として売れたい、活躍したいという気持ちがどんどん強くなっていきます。
そしてテレビの仕事をするようになり、師匠の元を、フランス座を巣立つ時が来ます。
浅草の人や町の様子、浅草芸人たち、師弟関係、踊り子さんたち。
みんな生き生きとしていて、とても元気になります。
売れない芸人さんが読んでも、何だか元気になれる本かも知れません。