愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『浅草キッド』ビートたけし

 

浅草キッド (新潮文庫)

浅草キッド (新潮文庫)

 

 

東京の下町、浅草フランス座で芸人としての道を歩み始める著者。

大学を中退してエレベーター係りとして働き始め、そのうち舞台に出てコントなどを演じるようになります。

深見千三郎という師匠のもと、厳しく愛情を持って弟子として育っていきます。

 

ストリップの間にコントなどの舞台があります。著者は舞台だけではなく、ストリップの裏方としても働きます。

仕事が終わったら、師匠に寿司などに連れて行ってもらったりします。

そこで師匠はお店の人に丁寧に対応して、心付けを渡したり、とにかく気を使います。一方で弟子には、早く食え、いいもんを頼め、と厳しいです。

しかし、何かを学ばせようとしているようにも見えます。

小上がり席のお店を出る時、下駄箱から師匠の靴を出しました。店を出てから怒られます。

隣にあったハイヒールを出せ、と。

劇場だけでは無く芸人の生き方を教えていたのかも知れません。

 

著者はそのうちコンビを組んで、他の劇場でも漫才などの活動を始めます。

やはり芸人として売れたい、活躍したいという気持ちがどんどん強くなっていきます。

そしてテレビの仕事をするようになり、師匠の元を、フランス座を巣立つ時が来ます。

 

浅草の人や町の様子、浅草芸人たち、師弟関係、踊り子さんたち。

みんな生き生きとしていて、とても元気になります。

売れない芸人さんが読んでも、何だか元気になれる本かも知れません。