愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『くちぶえ番長』重松清

 

くちぶえ番長(新潮文庫)

くちぶえ番長(新潮文庫)

 

 

ツヨシのクラスに転校生がやってきます。

いきなり最初の挨拶で、小学校の番長になる、と宣言します。

チョンマゲヘアーで、名前はマコトという、なんと女の子です。

 

ツヨシとマコトは父親同士が小学校の時に親友でした。

マコトの父親は早くに亡くなってしまっていますが、家族ぐるみの付き合が始まります。

 

最初はクラスで反感を買ったマコトですが、人助けをして、悪い上級生に対峙して負けないという、まさに正義の味方である番長としての振る舞いに、クラスの皆から好かれるようになって行きます。

その影響を受けて、ツヨシもちゃんと勇気を持って困難に立ち向かえるようになって行きます。

 

物語の要所で口笛を吹くシーンが出て来ます。

泣きそうな時に口笛を吹くと、涙が止まってくれるのです。

情景とメロディを思い浮かべると、胸に暖かい物がこみ上げるかも知れません。

 

実はこの本、小学五年生の娘に勧められて読みました。

塾の試験を受けた時に、国語の問題として出て来たそうです。

そして面白かったので文庫で全部読んでみたら、やはり面白かった、という経緯です。

 

小学生の皆がこれを読んで、ある種の勇気を持ってくれたら、きっとイジメなんかは大分無くなる気がします。

大人の世界にもイジメはあるので、辛い目に遭っている大人が読んでも、勇気づけられる作品になっています。