著者は生物学者です。
専門分野である、生き物の死にざまについて書いています。
専門書のような硬いものではないのですが、内容は、想像のかなり上を行っています。
読み易く柔らかく書いてくれていれば、生物学者としても先生としても素晴らしいですね、となりそうです。
しかし本書はそれだけではありません。
文学的要素が、ふんだんに使われているのです。
生命のはかなさ、身を犠牲にして我が子の世代へ命を繋ぐ母の尊さ、子孫を残すためだけに存在するような雄の切なさなどが、これでもかと描かれています。
『生き物の死にざま』というテーマも、確信的な気がします。
一読の価値ありです。