大学生だった当時、長く付き合っていた彼女と函館へ旅行しました。
坂の多い街で、中でも有名な場所では写真を撮る観光客で、多くの人がいました。
そこを下って行くと教会があり、瀟洒な街並みに静謐な空気が流れていました。
さらに行くと市街地です。
市電が走っていて、交差点には洋風の変わった電話ボックスがありました。
急に小さな公園が現れて、そこにはサルや少し変わった鳥がいて、ちょっとした動物園のようになっていました。
さらに行くと海があります。
海産物を食べられる食堂がいくつも立ち並んでいて、美味しそうな匂いが漂って来ました。
その一角に小さな広場があり、そこで地元をアピールするようなイベントをしていました。いくつか出ていたブースの一つが海産物の入った汁物を無料で配布する、ということをしていました。
そんなこんなで、私たちはすっかり函館が気に入りました。
「就職したらここで一緒に暮らそうか」
なんて、学生のくせに、そんな話をしたものです。
結局その約束が果たされる事は無かったのですが、何かで名前を見かけたり聞いたりすると、胸がほんのりと切なくなる、そんな街です。
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