著書はこの分野の第一人者である、溝口敦。
本書の凄いところは、通常では取材が難しいであろう暴力団について、微細に調べた事実が記されていることです。
暴力団対策法が出来てから、暴力団はかなり厳しい状況に立たされています。
組員であれば、アパートなどの賃貸契約を結べません。また、銀行口座を開設することも許されないのです。
さらには、身分を明かしたら恐喝罪に問われます。そして、組員による犯罪の使用者責任を、組織のかなり上にいる人物に対して、適応が可能です。
つい最近出所してきた山口組のナンバー2も、上述した経緯で捕まっています。
暴力団対策法を受けて、もはや暴力団をするのは割に合わないと考えたとします。
しかし、組員が辞めるのは大変です。袋叩きにあったり、法外なお金を要求されたりします。
元々法外な組織なので、そんな事もあるのでしょうね。
一方、香港の組織では、辞めるのはそれ程難しく無いようです。
ちなみに香港の暴力団は、三合会と呼ばれています。国が違えば色々と違うようです。
それにしても、海外の組織にまで取材の手を広げる著書には、脱帽です。
怖くないのでしょうか?
最後に著書は、このように結んでいます。
暴力団の言いなりになってはいけない。しっかりと立ち向かえば良い。
恐怖感に立ち向かってきたであろう著書の言葉だけに、何とも説得力があります。