愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『死刑囚最後の日』ヴィクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳

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レ・ミゼラブル』、『クロムウェル』、『ある喜劇についての悲劇』などの著者である、ヴィクトル・ユーゴーの作品。

当初は無名人の作として発表されました。

そうして世間の耳目を集めて、死刑について世間の人たちに関心を持ってもらう、という意図があったようです。

著者は、死刑廃止論者です。

文学者が死刑廃止を訴えたい時にとる手段は、小説を書く、でした。

主人公が死刑に処されるまでを描いた、鬼気迫る作品です。

 

主人公は中年に差し掛かった男性で、妻と幼い娘が1人います。

囚われの身となっていて、死刑判決を受けるところから、物語が始まります。

刻一刻と自分の命がリミットに近づいていく焦燥感。

妻や娘の未来を案じ、自らの命への執着が大きく、特赦を切望する様。

そして、ギロチン。

 

死刑について考えるには、これも必読です。

手に汗を握る臨場感でした。