愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『変身』フランツ・カフカ

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フランツ・カフカの著書で、最も有名な作品と言えば、この変身をあげる人は多いのではないでしょうか?

本書はその『変身』と、他一編が収録されています。

他一編とは『断食芸人』というお話です。

 

グレゴリーはある朝目覚めると、自分が大きな毒虫に変わっているのに気づきます。

当然今までのような生活は望むべくもなく。

 

断食をして痩せ細っていく姿を見せる。

これが断食芸人の持っている、唯一の芸です。

檻の中に入って見物人に、見てもらいます。

40日に渡り断食をするのが常で、それ以上も出来ると感じているのですが、諸々の事情で止められます。

 

どちらも不思議な雰囲気を持つ作品で、ある種の示唆に富んでいる、と見られています。

おそらく著者の中に悲哀があり、それが作品に投影されているのだろうと考えられます。

悲しく苦しく、そして決して他者に理解されない。

そんな主人公の心情は、実は誰しも感じたことがあるものなのかも知れません。