愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『小さき者へ』有島武郎

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有島武郎氏が、自らの子どもたちに宛てた文書を、書籍化した物です。

 

お前たちをどんなに深く愛したものがこの世にいるか、あるいはいたかと言う事実は永久にお前たちに必要なものだと私は思うのだ。

 

私の心はややもすると突き上げてくる不安にイライラさせられた。ある時は結婚を悔いた。ある時はお前たちの誕生を憎んだ。なぜ自分の生活の旗色をもっと鮮明にしないうちに結婚なぞをしたか。なぜ2人の肉欲の結果を、天からの賜物のように思わればならぬのか。家庭の建立に費やす労力と精力とを自分は他に用うべきではなかったのか。

 

父としての、夫としての、そして一個人としての役割や心情が率直に書かれています。

それぞれ自らが果たすべき役割や、理想ないし欲望についての葛藤も。

父や母としての立場で読むと、わかりやすいのかも知れませんね。