芥川賞の受賞作品です。
作者は『小銭をかぞえる』などを書いた西村賢太氏です。
日雇い労働者として毎日をおくる主人公。
生活とも言えない生活、というのは作者の言であるが、これは私小説なので多分に自虐的な響きがあります。
大した契約もせずに働ける、力仕事。
安アパートと安居酒屋と安いソープランドとその職場。
日々の日当五千五百円は、殆どその日のうちに使い果たしてしまう毎日です。
楽しいことなど特別起きずに無為に日々は過ぎていくように見えます。
盛り上がりようもなく、深い興味を覚えようも無いはず、なのですが。
何故かページをめくる手が止まりません。ということは、間違いなく面白いのです。
これが作者の力量というものなのでしょう。