愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『イワン・デニーソヴィチの一日』ソルジェニーツィン

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ソビエト連邦共和国。

当時の体制は、言論や行動の自由は無、でした。

そんな中、主人公のイワン・デニーソヴィチは、ラーゲル、つまり刑務所に入れられてしまいます。

極寒の地での刑務所暮らしは、実に過酷を極めます。

 

本書はその一日を、細部に渡って記したものです。

当時の特殊なラーゲルを知る上でも、そういう状況下での人間心理を知る上でも、大変貴重なものだと言えます。

 

一日は、起きて、貧相な衣服を着て、乏しい食事を摂り、強制的に労働をさせられて、寝る、というもので、特別な出来事はありません。

刑務所の一日なので、当然ではありますが。

 

一日の最後に、懲罰を受けず、昼を多く食べられ、タバコを買えて、病気にならなかった、という理由で、幸福な気持ちで眠りにつきます。

それが10年続いた、と。

何ともやりきれない話です。