愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『がんになった緩和ケア医が語る残り2年の生き方、考え方』関本剛

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緩和ケア医は、一定の期間で亡くなることが決まっている、終末期に差し掛かった患者さんのケアをする医師です。

その仕事をしている医師ならではの視点を期待して、読みました。

 

この状況になって良かったのは、患者さんが心を開いてくれやすくなったことです。

「私も同じです。一緒に頑張りましょう」

これほど慰められる言葉は、おそらくなかなか無いのではないでしょうか。

 

著者は医療従事者だからこそ、妙な期待を抱かずに、残された時間を認識出来るはずです。

それでも、自身がチャンピオンケースであって、他よりも長生きすることに期待してしまいます。

 

著者は、取り立てて特別な事を始めたりしません。

現状に満足しているようにも見えるし、そうでも無いようにも見えるし、自身で葛藤しているようにも見えます。

 

脳転移しているがんなので、性格や行動が変わる可能性があります。

著者は、それを恐れています。

ある意味、死よりも耐え難い者も知れません。

 

あまり心の内面描写が出てこないのは、少し期待と違いました。

しかし、あえて淡々と書いているのか、そう振る舞おうとしているのか、考えないようにしているのか。

いずれにしても、多くのことを考えささられる著書です。