愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『獄中記』佐藤優

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外務省で外交官として、国益のために職務にあたっていた著者。

それがある時逮捕され、留置所に入れられてしまいます。

その1年以上に及ぶ獄中で書き溜めたものを、書籍化したものが、本書です。

 

江戸時代は本がとても大切なものだった。

声に出すことを読むと、黙読は見る、と呼んでいた。

 

外界と遮断された状況は、知的営為が深くなる

 

学習に最も重要なものは動機である

 

語学に必要なのは、文法と単語

 

チェチェンの(血の掟)

自己の7代までの名前、出生地、死亡地、死亡理由、墓の場所などを暗唱する

もし先祖が殺されたら、犯人を特定し、敵の男系7代の子孫に対して復讐する

 

ペストを媒介するネズミを駆除する猫が、悪魔の手先、として大量に殺されたことがある

 

縁起感

すべての出来事は原因と結果からなる

今おかしなことをすると、将来そのツケが来る

 

キリストは神の子だが、死刑囚への道を自覚的に選んでいった。

我々も常に困難を選んでいくべきだ。

 

国家の本質は同じ。特定人物をターゲットにすると、その人は逃れられない

 

ラテン語サンスクリット語は文法的に近い

 

唯識思想

人間の過去の行動や言動は忘れていても深層に残り、影響も残る

深層を引き出すとき、自分に都合が良いように変えてしまう

言語を組み立て変えると、同じ物事が別のことに見える

 

神やキリスト教に言及せずとも、真理は言い表すことができる

 

独房で暮らすと、死刑囚の気持ちがわかり、時間の大切さもわかる

 

独房で監獄について学ぶと言うのは、普通の学者にはできない特権だと考える

 

友を救えなくても見届けるのは勇気

 

生き残るには知恵が全て

キリスト教・最悪の時が過ぎた。そこにイエスが現れた

ユダヤ教・これからいくらでも、悲惨や理不尽なことは起きうる

 

歴史や政治の英雄見るときは、下人根性で見てはならない。常に高い理想を保ってみる。

 

外なら3 、4年かかる勉強を、獄中では400日で行うことができた

 

政治犯や宗教犯は常に矯正不可能

 

他者に全く理解されない文章は(インクのしみ)に過ぎない

 

ヘーゲル論文

1、歴史は現在起きていることの意味は誰にもわからない。終わってから、優れた哲学者が解明できる

2、歴史を作れるのは偉人、必ず政治家である

 

獄中て2〜3ヶ月すると聴覚と触覚が上がる

 

得るものが多くて、とても書ききれません。

ともすると獄中が羨ましくさえなりますが、集中力があれば良い話なので、捕まらない方が良いのは確かです。