果心居士。
幼い頃に小泉八雲氏の『怪談』に収録されていたものを、読んだ記憶があります。
詳細は覚えていませんが、幻術で周囲を散々翻弄した挙句、絵のから船を呼び寄せてそれに乗り、絵の中の遥か彼方に去って行く姿が印象的でした。
今回は、司馬遼太郎氏の作品です。
時は戦国時代、松永久秀といういかにもいわくのある人物の城に住み着いている果心居士。
元は海外から来た人で、お寺で僧として生活していました。
しかし波羅門の秘法を研究していて破門にされ、行方知れずになったという、その経歴もすごいです。
忍術なのか秘術なのか呪術なのか、それとも殺人術なのか?
なんとも不気味だけど、何かをしてくれそうな期待を持たせます。
こんな人物がいたらいいな、いてもいいじゃないか、そう思わせてくれます。
爽快なヒーローでは無いのですけど。
何故か引き込まれる作品でした。