愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『憤死』綿矢りさ

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『インストール』、『蹴りたい背中』、『勝手にふるえてろ』など数々の代表作を持つ著者。

痛感な恋愛小説を書くイメージでした、本書の表紙を見ているところまでは。

 

第一話の『おとな』は6ページの、ホントに短いお話ですが、これで度肝を抜かれます。

え!?こんな話!?

実は表紙で、甘い恋愛小説だと思い込んでいたのですが、かなり予想を超えていきます。

しかし、これはただゴングがなったのに過ぎないことを、二話目の『トイレの懺悔室』で思い知らされます。

子どもの頃の楽しい思い出だったはずが、いつの間にか…。

憤死とは、世界史で度々出てくる、偉人などの死に方の一つです。

凄い死に方だな、と思っていたのですが、同じように著者も興味を持っていたのですね。

何だか嬉しくなりました。

それを実際に見ると、こういうことなのですね、というのが表題作の『憤死』です。

 

わたしの知る限りでは、著者の新境地ではないでしょうか。

思っていたのと違うけど、十分に楽しませてもらいました。

こういうのも良いですね。