作家の佐藤愛子氏によるエッセイです。
本書は、著者が80前後の時に書き下ろされました。
前書きで、著者の感覚と一定以上に年齢の離れた人たちとの感覚には隔たりがある、と述べます。それでも怒らず、嗤わず、わかろうとしてください、とお願いします。
著者は自身を怒りっぽくてやかましいと思われやすい、と感じているように見受けられます。
実際に文章では、怒ったり突き放したり、冷たいととれないこともない箇所があります。
しかし、実はとても愛される人なのではないかと、読者は感じるはずです。
前書きでお願いする部分や、怒っているのだけどどこかユーモラスで、とても可愛げのある人なのです。
本書に出てくる主張はわからないどころか、どれも至極まっとうです。
正論はともすれば鼻についたり聞き入れ難かったりするものですが、それが見事に緩和されているのです。
厳しいけれどすっきり爽やかな読後感は、一読の価値あり、と言えるのではないでしょうか。