酒鬼薔薇聖斗による児童殺傷事件。
校門に被害者の生首をさらすという、衝撃的なものとして、当時かなり大々的に報道されました。
中学生が顔見知りの小学生を殺害した。
性的な興奮を覚えつつ犯罪を行い、その最中に射精したということです。
本書は「少年A」として報道された犯人の、父親と母親の手記です。
両親は本書で得た収入を全て、被害者家族への弁済にあてると綴っています。
書き手もそうそうですが、私たちが本書を読む場合に、どうしたら犯行を止められていたか?と、どうしても考えながら読んでしまいます。
異常にしつこく怒っていたところ。
何度も親が学校に呼び出されていたところ。
他の子どもの家に親が謝りに行っていたところ。
後から見ると事件の萌芽と言えるものはあります。
母親が自身はよく内容はわからないけど、独裁者でホロコーストを行なった、著者ヒトラーの『わが闘争』を息子に与えたエピソードは、とても象徴的でした。
この犯罪は様々な見方があるかも知れませんが、特異な性的嗜好を持ち自己を抑えることが困難な人物によるものなのは確かです。
親がそういった事をどこまで認識出来るか?
そして矯正出来るか?
かなり難しいけど、今後の犯罪を防ぐのに、何かのためになる著書にしなければなりません。