愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『くらしのための料理学』土井善晴

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未開の民族が新しい文明食に出会うことで、たくましい民族の精神と肉体を失ったと言う無数の例がある

 

長い目で見ると日頃の食が人生に関わる

広い目で見ると、資源の無駄遣いは地球に負担をかける。

 

手を抜くのではなく「要領よくやる」「力を抜く」

 

日本人は和洋中を含めた価値観を持つ稀有な民族

 

伝統はいつでもそこにあるべきふるさと

それを捨てる事は、地球を捨てることにつながってしまう。

 

アール・ド・ヴィ(人生の芸術)

自然の恵みや伝統を守り、地元の農作物や楽しむ暮らし

 

暮らし(日常)の料理と特別(非日常)の料理がある。

フレンチは延長上、和食は全く違う。

ケ:弔い

ハレ:神

中間:日常(日常の間でのケハレ)

これらの世界観は日本人の美意識そのもの

 

ハレの料理は神への感謝と願い、第一にキレイを考える。

 

品評会出る米や味噌がおいしさよりも白さを重要視するのはそのため

 

毎日の掃除、お茶碗並べも綺麗に場をあらため、神へ挨拶をしている。

 

おもてなしは客を「まろうど神」とみなす精神

 

本来の和食は一汁一菜、おかず一

 

箸置きに箸ををきちんと横に置き、味噌汁を右手前、漬物は奥向こうに置いて三角に整える。

これが和食のシンボル。

 

「もったいない」:自然に対してあるべき態度を示す。

 

現在の日本は、世界有数の食品ロスの国

もともと日本人にとって、食べものを捨てるなんてありえないことだった。

和食は、縄文人の観念を持ち続けている。

 

「素材を生かす」

「何もしないことを最善とする」

 

「混ぜる」と「和える」の違い

mixtureとharmony

 

和食は、変化を楽しむから、おおよそでよしとする

→レシピは参考程度

 

餃子、ラーメン、カレー

→「国民食」として区別、和食の純粋性を守る

 

自然の移ろいの小さな変化に美を見つける。

→「モノ喜びする」

 

この世このまま大調和

 

日本だけが箸を横に置く。

→人と自然(食)との結界

「いただきます」で自然に感謝し、箸を取り結界を解く。

 

キレが良い:後味がなくすっきりしたもの

 

風味がよい: 無味で何がおいしいか説明しがたいがおいしいもの。

 

「整える」が、1番大切な料理(行為)

 

誰よりも自分がきちんとしていないことをわかっている。

 

人が作った道具さえ「つくも神」とした

 

和人は「清潔好き」と評されていた

 

和食は、一期一会、季節、朝夕、旬、出来立てなどで変わる。

 

もののあはれ:その瞬間を心に留め、楔を打つ。

ただありのままに受け止める

 

料理開始

顎、腹が小さく、脳が大きくなった。

余暇が出来た

 

ナイフとフォークで切る

→食べる人が料理している

 

それぞれ個人の好みを尊重する文化

 

料理人は食材と言う自然と、食べる人と言う他者を思う

 

食べる人が心を重ねる方法

料理を手伝う。

集中して食べる。

きちんと美味しく食べる。

ご機嫌で食べる。

食事をぞんざいにしない。

 

変なことさえしなければ、料理に失敗はない

 

料理は利他

 

利他の始まりは単細胞が協力し合うところから

 

「いただきます」は料理人と大自然への感謝

 

まずはお膳を整えて場をきれいにすればOK