
脳が壊れた、という経験を自分もしたことがある。
だから本書のタイトルもしっくりきたし、脳梗塞で体や思考や言語が不自由なのも、非常によくわかった。
自分の場合は転んで頭を打ったあと、一時的に思考に問題が起きたに過ぎない。
だから病院に行くまでもなかったけれども。
本書では、元々ルポなどを書いていた著者が、急に脳梗塞になった。
脳がおかしくなると、体の感覚や操縦がおかしくなるだけでなく、不安感などの感情もおかしくなる。
まさに頭がおかしくなると言える。
このような現象をしっかり言語化して残したものは、とても貴重だ。
幸運だったとまで著者が言えるのは、やはり良い作品ができた手応えもあるのだろう。
我々は、このような脳疾患になるかどうかはわからない。
もしなってしまったら、本書はきっと役にたつ。
なぜなら感情などのリハビリ、それも著者が編み出したものが、本当に秀逸だからだ。
実際にどれくらい効果的なのかは、症例によるかも知れないけれど。
ともあれ脳の異常というのは、通常の人にとっては、まさに未知の世界だろう。
そういう意味でも本書は非常に興味深く読めるのは間違いない。