愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『MISSING』村上龍

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特別に異常なことがあったわけではないが、記憶があいまいで、それが実際にあった出来事なのかわからない。

記憶は脳が記録しているものだ。

実は脳はいつでも完全に信頼できるほど働いているわけではない。

アルコールを摂取している時などが、良い例だろう。

人も店も出来事も、みな曖昧なものだ。

メールなどの後に残るものなら、実際にあったと言い切りやすい。

顔に怪我があるのなら、確かに昨日転んだのだと認識出来るように。

だがしかし、それは十分な条件と言えるだろうか?

確かなものが無ければ、世界が揺らぐ。

それは世界は脳が作り出したものだからだろう。

全ての人にとって、それぞれ世界は違うということにもなる。

そして自分は記憶の中の自分と同じで無いとしたら、その世界とこの世界は違うということになる。

人はよくもまあ、頭がおかしくならずに過ごしていけるものだ。

それもまた、大丈夫だという保証はないのだろうけど。