愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『フォルトゥナの瞳』百田尚樹

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便利だと思った特技は、使うと自分の身を削るものだった。

百田尚樹氏の小説を読んでいると、自然と映像が目に浮かぶ。

それが鮮やかで、動きまで伴ったりする。

テレビ業界でずっと働いてきたことと無関係ではなきのだろう。

いくつかの著作を読んできたが、どれも感動して涙が出るほど感動したり、その先を読みたくてずっと読み続けたりさせるものだった。

しかし、何となく出来過ぎな気がしていた。

それはどうしようもない悪人が出てこないからだ、とふと気づいた。

極悪だったり、説明のつかない理不尽な異常性格だったり、という人物はまず出てこない。

だから安心して読めるのかも知れないが。

恐らく著者は、人間を信じているのだろう。

本書でも、基本的に悪人は出て来ない。

ただし、主人公の男性とヒロインの行動が、圧倒的に違う。

それでもヒロインは悪人ではなく、実に一般的な女性に見える。

と、ここまで考えて、恐ろしいことに気づいた。

男性にとって、世の中の女性はみんな悪人なのではあるまいか?

著者がそんな意図で書いたのかは分かりませんが、一男性としては背筋が寒くなりました。