今週のお題「スースーするもの」
尊敬する年長の知人がいる。
示唆に富むことを教えてもらえる。
のみならず、言動は常に慈愛に満ちている。
私自身もこうなりたい、と目標に思えるような、まさに好人物である。
先日、昼食を共にする機会があった。
知人は真正面の席に座った。
会話が始まったが、いつもよりもくぐもった様な声で、何だか聞き取りにくいな、と思っていた。
その刹那ー
知人の前歯が、クリクリッと動いた。
だがしかし、知人はいつもの様な穏やかな笑顔で、楽しそうに喋り続けている。
やはりその声は聞き取りにくい。
注意してみると、なかなかな頻度で、その前歯は動いている。
真ん中から二本目の上側の大きな前歯。
あまり見るのは失礼になるのだろうか、と思いつつ話を聞くが、全く頭に入って来ない。
恐らく差し歯の調子が悪いのだろう。
知人は悪くない。
これが歳をとると言う事なのだろう、と感慨深かった。
なぜかスースーする様な気持ちはしたのだが。
それは仕方あるまい。
知人を尊敬していることには変わりないのだ。