今週のお題「好きなアイス」
昭和の時代。
それも近辺には店など無い、山深い集落。
ほとんどの人は農作業に従事している。
世間から忘れられたような集落で、わたしの母は育ちました。
そんな母の好物はあずきバーです。
「アイス買って来たよー!」
夏の暑い日、汗を滴らせながらクワガタ採りや野球から帰って来る僕たち兄弟の好きなアイスは、ガリガリ君という冷たい氷系の物でした。
ガラガラガラッ、と音を立てて冷凍庫のドアを開けると。
出迎えるは、あずきバー。
僕も兄も一瞬のあいだ無言になります。
(またコレか……)
およそアイスやお菓子に嫌いはないのだけど、一番好きではないアイスと言えば、まさにこのあずきバーでした。
それはおばあちゃん家で出る、味好み系の豆やアラレのお菓子に似ています。
「うん…、ありがとう…」
やったー!
とは言えないけど、辛うじてお礼を言うくらいには、気の使える子どもでした。
(せめて練乳部分のある、抹茶金時だったら良かったのに)
そんな事を思いながら、僕たちはあずきバーを食べていました。
大人になった今は、きっともっと美味しく食べられる気がします。
でも、ついついほかのアイスを買ってしまうのでした。