愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『宇宙兄弟』小山宙哉

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以前、映画で実写化されたことがある作品です。

この絵を見て、キャストがそっくりだったのを思い出しました。

 

舞台は2025年。

兄のムッタが主人公の物語です。

弟のヒビトは宇宙飛行士として、来年は月に飛び立つことになっています。

一方でムッタは、上司に頭突きをしたため会社をクビになり、無職です。

そんな折に、JAXAが宇宙飛行士を募集。

母が勝手に送った履歴書で、書類選考を通過します。

なんだかジャニーズに入ったアイドルのような成り行きですが、ムッタも宇宙飛行士に向けて進み始めます。

というか、もともと子どもの頃に兄弟で宇宙に憧れていたので、やっとやる気になったか、と言えなくもないのです。

 

なりたいものになる、やりたいことをやる、どちらも大切だけどなかなか出来ないのではないでしょうか?

今後がとても楽しみです。

 

『上を向いてアルコール』小田嶋隆

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コラムニストの著者が本書を執筆したのは、62歳のときです。

断酒して20年経ったそうです。

サブタイトルにもありますが、元アル中です。

本書のテーマはアルコール依存症

著者はこのテーマについて考えるのが嫌で、ずっと避けて来たそうです。

これだけの年月が過ぎて、やっと書けるようになり本書が刊行されました。

淡々と書かれていますが、実に壮絶な内容です。ひょっとしたら本人は自覚していないのかも?と思わせるような口調で、それがより恐ろしさを強調します。

 

アル中になるくらい飲むのに理由は無い。

 

飲み仲間とは薄い付き合いで外では会わない。

 

アル中は自分ではそれを認めない。

 

アルコールに依存する体質があるけど、依存物質があるわけではない。

そう主張するライターがいた。

 

著者はついに幻覚を聴くようになり、精神科を受診します。

そこでアル中だという診断を受けます。

「あなたはまだ30代だから、困った酔っ払い、くらいでなんとかやっているのだと思う。だけど、40で酒乱、50で人格崩壊、60になるとアルコール性脳萎縮で死にますよ」と言われます。

 

飲むのをやめてから、音楽や読書や野球観戦がつまらなくなります。そこで、それらの嗜好が酒により書き換えられていたのだと、気づきます。

 

著者は酒をやめてから、色々なものを失った、という寂しさを持ちます。

 

立食パーティーは、酒を飲んでいれば何とかなったが、素面で行くとくだらないので、大嫌いになった。

 

酔っ払いという立場で発言すれば、無茶を言えていた。

 

毒舌も同じ。

 

打ち合わせや企画を、酔ったから言いますけど、という発言でキモを決めていた。

 

「元アル中」コラムニストの告白

というサブタイトルで、アル中で苦しんでいる仲間にとって、お釈迦様の蜘蛛の糸、のようなものになれれば、と本書を執筆したそうです。

そして自身を、断酒中のアルコール依存者、とも言っています。

確かに気をつけて読むと、その通りです。

失ったもの達は、別にお酒が必要なものでは無く、やはりまだ飲みたいのかな?とも取れます。

また、発言や毒舌については依存者のエゴも垣間見えて、お酒の怖さが浮き彫りになります。

注意して読むと、本当に壮絶な内容です。

お酒を飲む人は、必ず得ることがあるはずです。

 

 

 

 

 

『名文を読みかえす』馬場啓一

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著者はエッセイや小説を執筆する、文章のプロです。

そのプロが、様々な作家による文章の特徴的な部分と、その良さを解説してくれます。

 

山下清の文章の丁寧さ。

素晴らしいのは、絵だけではありません。

 

プロジェクトXでは、文章を「た」で必ず終わらせるという、アンチセオリーが効いています。

 

ビートたけしは、おいらという一人称。

 

池波正太郎の文章の短さ。

 

荒川武大の語り口調。

 

それぞれの作家が、様々に考えながら書くことで、それぞれの個性や良さや伝わるものが出てきます。

一般人が真似をすると、悲しいことになるかも知れない、ということは分かります。

それでも、文章を書くのは自由なんだな、ということがわかりました。

それと同時に、読み手のことを考えるべきだということも。

初めてのペアルック

初めてのペアルックはTシャツでした。

そんなことは恥ずかしくて、とてもじゃないけど無理!と思っていました。

しかし娘が生まれて2歳になった頃、妻が勧めてきた広告を見て、思いがけず目を奪われてしまいました。

 

「欲しい…」

 

そこには、親子用のペアルックTシャツが、紹介されていました。

ヘンリーネックでナチュラルな薄いブラウン。

カップル用ではなく、いかにもペアルックです、という雰囲気もなく、とても素敵です。

 

すぐに購入しました。

子どもの成長は早く、次の年にはもう着られなくなってしまっていましたが、今でも鮮明にそのTシャツは思い浮かべられます。

娘は今年から中学生です。

もう、お父さんとペアルックを着ることは、無いのかも知れませんね。

 

今週のお題「お気に入りのTシャツ」

『浪花のシャブ外道』木佐貫真照

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覚醒剤を売買してしのぐアキ、主人公は著者で、ヤクザです。

鹿児島から、ヤクザをするために大阪へ移住します。

そこで所属したのが、覚醒剤の密売組織です。

もともとヤクザになるために来たので、どんどん悪事に手を染めます。

当初は売買をするだけだったのが、そのうち自らも常用するようになります。

 

覚醒剤は非合法の麻薬です。

それなのに何故、手を出す人間が後をたたないのでしょうか?

著者はその理由を明確に説明します。

「やめられない」のです。

だから、著者が何度懲役に行っても商売を再開出来るのです。

それにしても、シャブ中はすごいです。

クスリが効いていると、九官鳥や宇宙人になって喋りっぱなしです。

切れると不機嫌になり、使うと途端にご機嫌になる。その効果はあからさまです。

 

シャブを使う一番の理由は、セックスが良いからです。

それを使うセックスは、そうでないものと全く違う、と著者は言います。

それまでのモノがお子様に感じられる、と。

ケダモノのように何度も頂点に達して、快楽にとめどがありません。

そして、変態的なセックスを好む傾向になります。

著者もそういった使い方をします。

17歳の彼女に使ったり、風俗嬢に使ってシャブ中にさせたり。

ヤクザだから、それはそうなのでしょうけど、まさに外道です。

 

終盤でようやく著者は、ヤクザから足を洗うことにします。

そして覚醒剤をやめたい人を手助けする、という仕事を始めます。

とても良いことです。

それまでに出てきたシャブ中の話を見ると、著者の選んだ道がイバラの道なのだと、よくわかります。

次はその活動の話も読んでみたくなりました。

『イソップ寓話集』

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イソップ寓話集。

言わずと知れた、子ども向けの物語集です…。

では、ありません!

実は、かのソクラテスも愛読していたほど、歴史があって、ためになる、大人向けの書物なのです。

その証拠に、本書は岩波文庫から出ています。

かなりの数のお話が集まっていて、作者や年代はバラバラだとも言われています。

確かに物語のテイストはそれぞれ違うし、教訓はこうですよ、と解説しているものもそうでないものも混在しています。

まさに子どもから大人まで、色々な意味で楽しめる、そんな著書です。

『ある日突然オタクの夫が亡くなったら?』

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幼い子ども二人と夫婦。

まだ40代の夫が、朝になっても起きてこない。

見に行くと心臓も呼吸も止まっていた。

 

この話は、本当にある日突然オタクの夫が亡くなってしまう、といあところから始まります。

まだ40代の夫が亡くなるのは、家族の誰もが想定していません。

そのため、故人の意志を尊重するにはどうしたら良いか?が難しいです。

具体的には、買い集めていたもの達です。

ある程度の年齢であれば、処分の仕方なんかが、夫婦の間で話題になることがあるのかも知れませんが。

また、お葬式の形式も同様です。本書の旦那さんは、無宗教だという話はしていましたが、どんなお葬式が良いかまでは話していませんでした。

役所や銀行などの手続きも山積して、奥さんだけだと本当に大変です。

そこで、他の親族が手助けしてくれていました。これは本当に助かったようです。

Googleスプレッドシートをリモートで使っていたのは、とても良い方法のように思えました。

 

淡々とした画風の漫画でしたが、そこが話題と合っていて、とてもためになりつつ興味深く読めました。

私たち夫婦も40代です。

こういう事態も想定しておくべきなのだと、身につまされました。

早速パスワードをまとめておく、などを始めたいと思います。