大学生は、大人と子どもとの、中間のような存在です。
一人暮らしを始めたり、アルバイトを始めてまとまったお金を手にする機会が出来たりします。
そして、遠出や外泊の機会も増えて、かなり世界が広がって来ます。
これはそんな年代の男女たちを描いています。
短編が数話で一冊になっている、という少し変わった構成です。
前の話の登場人物が、次の話では脇役で出演してきます。
別の視点からその人を見られるので、登場に気付いてからは、また違う楽しみも加わります。
完璧に見える人でも、脆さが次の話で垣間見えたりします。
全体を通して、その年代にありそうな、瑞々しさや生命力を感じます。
著者は『桐島部活やめるってよ』を書いたき人です。
学生の頃に読んでいたら、かなり感情移入が出来て面白かった気がします。
四十を過ぎた私には、少し眩し過ぎるきらいがありますが、懐かしさや甘酸っぱい感覚もあり、とても興味深く読めました。
おじさんにも、オススメです。