愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『カルメン』

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ドン・ホセの独白形式の作品です。

ボヘミアンカルメンこと、カルメンシタという女性との、出会いから別れまでを描いた作品です。

 

カルメンに出会い、恋をしてしまったために、兵士の仕事を捨ててお尋ね者になるホセ。

密輸入、盗賊、人殺し、転げるように転落して悪事を重ねて行きます。

それもこれも、自由奔放で天真爛漫なカルメンに、いいように翻弄されてのことです。

 

どれも嘘なのかも知れないし、どれも本当なのかも知れない、そんなカルメンの魅力は、生きていくために身につけた必要なものなのかもしれません。

 

カスタネット、占い、葉巻。

情緒あふれる世界にも、どっぷりと浸かれます。

読み終わってからため息が漏れました。

良書です。

『ラブレター』いわさきちひろ

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柔らかいタッチの絵を描く作家さんである、いわさきちひろ氏のエッセイです。

タイトルのラブレターは、旦那さんにあてた手紙のような内容だから、と考えられそうです。

会えなくて、手紙の返事も来なくて、読んでいるこちらの胸が苦しくなるような、描写が溢れています。

旦那さんのことが大好き、ということがひしひしと伝わってくる、とても切ない作品でした。

 

『阿Q正伝・狂人日記』魯迅

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魯迅の代表的な作品集です。

 

周囲の人が自分を食べようとしている、という妄想に取り憑かれた男を描く、狂人日記

 

子どもの体調が悪くなったのを懸命に助けようとするが、助けられずに亡くなってしまう話。

 

全編を通して、愚直な人や貧しい農村の風景が、これでもかというほど描写されます。

暗澹たる気持ちになりたい時に、丁度良い作品です。

『炎上商法で1億円稼いだ男の成功法則』シバター

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YouTubeに動画を上げることで利益を得る。

これを職業にしている著者は、ユーチューバーです。

 

プロレスラーでもある著者は、YouTube

もエンターテインメントを取り入れているようです。

煽って、盛り上げて、かつ楽しませるという部分があります。

炎上商法と言っても、ただ炎上しているわけではないようです。

計画的に嫌われ者を演じている、というような。あたかも、悪役プロレスラーのように、です。

著者は作中で、1億円は宝くじに当たったようなものだ、と言っています。

運が良かっただけだ、という意図です。

色々考えて、地に足が着いているように見えます。

ユーチューバーだからすごい、というよりは、すごい人がユーチューバーで当たったということなのかも知れません。

 

『自分が嫌われてると思ってる人へ』スリムクラブ真栄田賢

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沖縄出身の芸人である真栄田賢の著書。

マンスリーよしもとに連載されていた文章を、まとめた物です。

とても下らなくて、文章もまとまっていないところが散見されます。

しかし、何度も声を上げて笑いました。

おそらく、それが全てだと思います。

『百田百言』百田尚樹

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名言集、です。

しかし、一般的なそれとは趣が異なります。

それは、著者による小説に登場する人物の言葉、という点です。

 

『永遠のゼロ』

『海賊と呼ばれた男』

『モンスター』

『影法師』

『風の中のマリア』

『カエルの楽園』

『錨を上げよ』

『輝く夜』

 

それぞれの小説に出てくる人物が、それぞれの人格でシチュエーションで、心情を吐露します。

著者の言葉というよりは、それぞれの人物が自然に話した言葉、と言えるかも知れません。

中でも苦しい状況で絞り出した言葉には、かなりの迫力があるように感じます。

併せて小説も読みたくなってきました。