愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『狂言へござれ』野村萬蔵

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小学生の頃、国語の教科書で狂言を初めて目にしました。

『附子』という、太郎冠者と次郎冠者が活躍する話です。

細部は忘れましたが、落語の『まんじゅう怖い』のような、面白おかしい話だったと記憶しています。

以来、かなり大人になって歌舞伎座で見るまで、ずっと遠ざかっていました。

本来は能の舞台で行われるもので、狂言と能は表裏一体なのだそうです。

本書では狂言を、ストーリーと実際に演じている写真とで、見事に紹介しています。

あたかも見に行っているような。

わたしのような初心者にもわかりやすく書いてくれているのが、とてもありがたいです。

『地政学見るだけノート』神野正史

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地政学:政治と経済の双方で重要

 

世界の4大勢力

1、大西洋同盟(アメリカ勢力圏)

2、ロシア勢力圏

3、イスラムベルト

4、大中華圏

 

アメリカは領土を得るのではなく各国に軍事拠点をおいて、覇権を維持している

 

一帯一路 :危険視され始めている

 

ソ連から独立した14の国も、ロシアはいまだに自国の領土だと言う意識でいる

 

ユーラシア主義:ロシア人はスラブ系+テュルク、モンゴルなど多人種からなる超民族国家で、帝国となる運命にある、と伝えている。

 

シンガポールの人口は74%が中国系。世界中の華僑ネットワークも生かせる。

 

イラン:ペルシャ帝国:シーア派

 

トルコ:オスマン帝国

 

日本にとって米中は、政治・経済の最大のパートナー

 

北方領土はロシアにとって米中牽制のための重要な拠点

 

尖閣諸島東シナ海制覇に重要な土地

 

なぜ中国やロシアが、あのような振る舞いをするのぎ、とてもよく分かりました。

世界平和の道はまだまだ遠い、と言わざるを得ませんね。

『世田谷一家殺人事件 銘肌鏤骨』斉藤寅

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平和に暮らしていた一家が、ある日突然皆殺しの目にあったら?

それも恐らく、なんの面識もない相手による犯行だとしたら?

そんな事に会うのはたまらないですよね。

でもこれは現実に起きた事なのです。

しかも、解決すら出来ていないという。

銘肌鏤骨とは、肌に刻み骨に刻む、それほど忘れないという意味です。

『ギャンブル大国ニッポン』古川美穂 岩波ブックレット

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東日本大震災後の孤独死:約30%がアルコール性肝硬変

 

震災のダメージが強い人ほど、パチンコにのめり込む

 

20歳から60歳まで小遣いの範囲でパチンコをしていた人

→リタイア後、2 〜3年で退職金を使い果たし、多額の借金を抱えた、と言う事例がある。

 

依存症は「否認の病」当事者も周囲でさえ、現状を認めにくい。

依存症は進行性、自然治癒や完治は無い

しかし、適切な治療により「回復」は可能

 

ギャンブル依存症は、アルコールなどと違い肉体的不調がないため、発覚しにくい

 

ギャンブル依存症の最大害は「嘘」と「借金」

 

ギャンブルマシーンの人口あたりの多さは、日本が世界第三位

上位二つはギャンブルリゾート地

 

カジノで経済を活性化しても他の産業は育たない

 

日本の1.6〜9.4%は病的勝負師の疑いがある

 

ギャンブルは8世紀の法律からすでに制限されていた

人や社会を深く蝕むから、と言う理由

 

しかし、現在の日本は6つの公営ギャンブルと、さらにパチンコが存在している

 

パチンコ業界から献金受けている政治家は多い

 

 

ギャンブルなどの依存症は、当人が悪いとされてしまいがちですが、そう言い切って良いのでしょうか?

救いの手を差し伸べなければなりませんが、政治家に期待するのは難しそうです。

どんな人でもあり得るのですよね、他の病気と同じで。

本当に恐ろしいです。

『マザー・テレサ語る』

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マザー・テレサと周囲の人たちの言行録です。

よくぞそこまで出来るなあ、という素晴らしいエピソードが満載です。

きっと多くの人が、彼女たちの行いにより救われたであろうことは、疑いの予知がありません。

信仰の力は本当に大きいのだと実感しました。

それが正しいことを導くのだとしたら、宗教は何者にも変え難い、救いになるはずです。

それでもある種の狂気を感じるのは、こちらが純粋ではないから、なのでしょうね。

『なんとか生きてますッ』大宮エリー

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お酒が大好きで、とても元気な著者。

表紙のイラストとタイトルが全てを物語るように、飲酒の上で失敗したエピソードが盛りだくさんのエッセイです。

本人は忘れているから、翌日、同席した人に連絡を取って何があったのかを聞いて、それを文字に起こしたものが多数。

まあ酷いです。

そして面白いです。

もしかしたら、公に出来ないさらに酷いエピソードはもっとあるような気もするのですけど。

 

お酒って、本当に怖いなあ、悪いなあ、と再確認しました。

飲んでない時も面白い著者です。

『源氏物語』紫式部 瀬戸内寂聴

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CDにジャケ買い、という言葉があります。

本書はあまりに装丁が綺麗なので、カバー買いをしてしまいました。

源氏物語は、世界最古の小説と言われている、日本文学の中でもかなり価値の高いものです。

原著で読めると良いのですが、悲しいかな現代の私たちには、古文の素養がしっかりなければ読むのが難しいです。

本書は、作家の瀬戸内寂聴氏が現代語訳をしてくれたものです。

雅だけど、人の心は現代と変わらないのが、悲しくも面白いです。