愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『本棚にもルールがある』 成毛眞

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本棚にどのように本を置くのがよいか?

相当な本好きか、インテリア好きでなければ、それほど気にしないであろうテーマでは無いでしょうか。

これを、本を大好きな著者が解説してくれます。

 

メインの本棚は来客時などに、人に見せる本棚です。なので、全力で相手に興味を持って貰えるような布陣で臨みます。

飛行機の本が置いてある所には、飛行機の置物を置いたりして、と本気です。

 

辞典などのパッと手に取る本は、平積み型の本棚です。

タワー型CDラックのイメージです。

見やすく取りやすい、実用的な本棚です。

余談ですが、我が家に導入しようとしたら、見た目の問題で妻に却下されてしまいました。

実に残念ですが、ウチの夫婦円満の秘訣は、夫が妻の意見を最優先にする、なので今回は見送りました。

 

積ん読の本を平積みで手前に置く、というのは、とてもためになりました。

本棚を整理し直したところ、読まずに忘れていた本が見つかって嬉しくなる、というなんとなくだらし無い小さな幸せを手に入れる事が出来ました。

 

著者の書評が書いてあったり、良い本のディスプレイの仕方をしている本屋さんが紹介されていたり、書評を書く方法まで載っているという、贅沢で盛りだくさんの内容です。

 

本を好きな全ての人にオススメ出来る作品です。

『友達幻想』 菅野仁

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友達とどの様に付き合って行くのが良いか。

恐らく、全ての人が通る悩みでは無いでしょうか。

もちろん程度の差はありますが。

本書は、まさにその悩みの真っ只中にいる中高生に向けて書かれています。

 

♪一年生になったら、友達100人出来るかな

友達を100人作らなければいけないような感覚を覚える、というような記載があります。

この感覚は、分かる人は少数かも知れませんが、とても良く分かります。

友達が多いのは良い事だと決めつけている、とも取れます。

 

友達だけでなく、家族や先生との関係についても言及されています。

自分と他者、という概念が良いようです。

他人ほど遠くは無いけど、自分自身とは明確に違う人だと認識する必要があります。

 

私自身は、友達とそうでは無い人の区別はつける必要が無い、と考えています。

そのため、著者が友達に拘らず適度な距離で他者と付き合おう、というように書いていたのが、とてもしっくり来ました。

 

イジメについても言及されてます。

イジメをしてはいけない理由は、他者からイジメられる可能性があるからだそうです。

つまり、その時の力関係によりイジメる側とイジメられる側は、容易に入れ替わります。

そのため、イジメ自体が存在しなければ危険は少ないという事です。

実はこの理由は、人を殺してはいけない理由と全く一緒です。

他者を認める事にも通じるようで、とても大事な気がします。

 

ここに書いてある事は、おそらくかなりの数の学生にとって、十分に同意出来る内容な筈です。

そのため、出来るだけ多くの学生さんが読むと良さそうです。

ちなみに、会社内やママ友などの人間関係で悩んでいる大人にも、十二分に役立つ本になっているように思います。

 

『女のいない男たち』 村上春樹

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6話の短編集です。

6人の男性が大切な女性を、それぞれが様々な理由で失ってしまいます。

様々な形の失恋のお話です。

 

死別だったり、恋愛と同じくらいの数だけ、女性の失い方があるのですよね。

6話の中には、恋愛と呼んでも良いのかわからない物もあります。

しかし、自分の気持ちなんて自分ではどうすることも出来ないという事が、いつでも言えます。

例えそれが良くない結末に向かっているとしても、です。

 

これから恋愛が始まりそうな人は、読んでおくと相手を大事に出来そうです。

失恋しそうだったり、した人には、場合によっては酷かも知れません。

上手く行けば、希望のような物が見えるのかも知れませんが。

 

 

 

 

 

 

『ときめくコケ図鑑』

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コーケーのーむーーすーーぅーまーーあでーー

今まで散々歌って来ましたが、コケについて、ほとんど知らない事に気がつきました。

 

意外というかやはりというか、コケには様々な種類があるようです。

木や花の名前は知っていても、自分がコケの名前をほとんど知らなかった事に気づかされます。辛うじてゼニゴケを見て、生物か理科の授業で習ったのを思い出した程度です。

 

著者はコケのことが大好きで、本書の中でついにコケブームが来てコケが脚光をあびるようになったと喜んでいます。

そちらに疎い私は、ブームには全く気付かずに本書を手に取りました。

偶然だけど、とてもついている気がします。

 

コケの観察についての注意点はルーペを使用することです。

普通に見ても「コケだな」という感想しか出ないかも知れません。

しかしルーペで細部まで見えるようにすると、見た目がかなり変わります。種類によっては、山や森の奥に幻想的な風景が広がっているようで、とても風情があります。

 

コケ好き!という人は少ないかも知れません。

本書は一般の人向けに書かれています。

こんな小さな世界に、こんなに綺麗なコケが生えている事に驚くのではないでしょうか?

雨の多い今の時期におススメの本です。

 

『1億5千万円の恋』なお

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恋は盲目という言葉があります。

恋をすると世界が変わる、自分も周りも何もかもが変わる、という事があります。

 

一般的な家庭に生まれ育って、普通のOLをしていた主人公なお。

そんな彼女がホストに四年間のうちに一億五千万円を注ぎ込む、という恋ち落ちます。

そんなお金は当然普通のOLに稼げるわけは無く、ソープランドで働き始めます。ハードな仕事のため休みがあるのですが、そこをさらに別の風俗で働くという、物凄い事をします。

途中で体調を崩してしまうのですが、見ているこっちがハラハラしてしまいます。

 

本書はブログをまとめたもので、日付つきでなおとホストとの会話や出来事や感情が、主人公の目線で語られて行きます。

全てが主観的で感情の描写がとても多いです。

ホストの彼を好きだという気持ちが痛いくらいにわかります。そのため、自ら太客という立場で良いと決め、それ以上の立場を拒否します。

その立場であれば、ホストから拒絶される事が絶対にないからです。

ある意味では、それくらい好きなのだと言えなくもないです。

 

もともとホスト相手の恋なんて成就するはずもなく。

しかし主人公は物凄くホストを好きになってしまい、自ら離れて他の彼が出来ても、その気持ちは持ち続けます。

いびつ、不健全、不器用、天邪鬼。

様々な負の言葉が思い浮かんでしまいますが、好きだという感情が強烈過ぎて、ただただ切ないです。

 

現在、好きな人がいる、という人には良いかも知れません。

元気が無い人は、心の調子が落ち着いてからの方が良いと思います。

ある意味で、かなり読み応えのある本です。

 

やっと笑ったのはチョコミントドリンクを飲んだ瞬間だった

今週のお題「チョコミント

 

結婚生活も長くなると、なかなか上手く行かない時期も来てしまうらしい。

ウチの奥さんはまさにそんな時期だった。

小学生と保育園児の二人の娘を育てて、それぞれの役員をして、家事をして、仕事をして、若い頃とは違って何だか体が痛くなったりして。

長女の成績が伸びなかったり、次女がすぐにカンシャクを爆発させたり、わがままをいう父兄がいたり、嫌いなクモが洗濯物を干す場所に巣を作りかけたり、とにかく苦労が絶えない。

そして、あまり笑わなくなって、辛いという事を頻繁に言うようになった。

場合によっては、聞いているこちらまで辛くなってしまうような事も。

なんとか元気になってもらおうと思って、様々な事をしてみるけれど、元来不器用な私はかえって彼女をイライラさせてしまったりしていた。

そんな時に、買い物先でチョコミントドリンクという物を見つけた。

彼女の好きな味なので「買っていこうか?」と聞いたら「ドリンクって微妙じゃない?」という答えが返ってきた。

確かに、アイスやチョコレートと違って、珍しいからチャレンジングではある。

それでも折角みつけたから買って帰った。

買っては見たもののなんとなく美味しくないかも、という不安もあって手が伸びずにいた。

数日後、夫婦二人になる時間が不意に出来た。

ちょっと飲んでみようか?と言って、二人で飲んでみたら、しっかり美味しかった。

彼女は久しぶりに見るくらいの笑顔だった。

そんな表情を見て、本当に買ってよかったと思った。

ささやかだけど幸せな味だった。

 

 

仕事に向いているか向いていないかと、有能か無能か

「私はこの仕事に向いているのでしょうか?」

 

悩み相談をしているのですが、この質問を受ける事が度々あります。

私が思っている答えはこれです。

 

「その仕事が好きなら、向いています」

 

仕事が自分に向いているのか悩む場合は、職場の方や取引先や顧客に迷惑をかけたり、何らかの失敗があった時が多いです。

いいじゃないですか!と、私は思います。

失敗は誰にでもあるし、大体はリカバリー出来る物ばかりです。

そして何より、好きでやっている仕事であれば、必ず失敗が糧になって今よりも様々な人のためになるような事が出来るようになって行きます。

 

もし、仕事が好きでなくなってしまったら、それはもう向いていないのでしょうね。

好きな仕事を探して、それに移る事をおすすめします。

同じ職場の方がそうなってしまったら、とても悲しいですがやはり同じことを言います。

 

ところで、仕事をする人は有能だったり無能だったりします。

段どりの良さ、相手の気持ちを考えられているか、成果に目を向けているかなどなど色々な基準はあるかも知れません。

ただ、間違いなく言えるのは、有能な人はどんな仕事をしても有能で、無能な人はどんな仕事をしても無能だという事です。

仕事の内容によって、それぞれの差は縮むかも知れませんが。

有能なレストランの店員さんは、コンビニで働いても、学校の先生をしても、看護士さんの仕事をしても、有能なはずです。

一方、無能な店員さんは、タクシーの運転手をしても、サッカー選手だったとしても、歯医者さんだとしても、きっと無能でしょう。

どの仕事でも、根本には同じものがあります。

 

さて、この仕事は私に向いているか、という話に戻ります。

仕事が上手く行かないというのは、仕事の向き不向きとはあまり関係が無さそうですよね。

自分の気持ちにしっかり耳を傾けて、好きな仕事をしっかりやりましょう。

きっと、自分も他人も幸せにしてあげられるはずです。