愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『イスラム流幸せな生き方』常見藤代

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イスラムの世界で、20年も前から旅をしたり過ごしている著者。

彼女はイスラム圏の家々を一緒に暮らして泊まり歩いてきています。

それに対して、多くの日本人の感想は「危なくないか」というものだ。

近年報道されているものは、イスラム国によるテロ、黒い布で顔を隠した女性、ひげ面で鉄砲を手にした男たち、お酒が飲めない厳しい宗教、などマイナスのイメージ。

しかし著者は、イスラムは女性や貧しい人やお年寄りや食べると等の弱者にとても優しい宗教だと感じている。

イスラムは人を幸せにする教えだと感じている。

 

イスラムの人たちはみんな来世を信じています。現世は来世よりもずっと長い間続きます。

そのため、現世で幸せになるよりも、天国で永遠に楽しく生きることを望みます。

ちなみに天国はどういうところかと言うと、飲んでも頭がふらつかず酔っ払ったりしない、でも心地よくなるお酒が、こんこんと湧き出ています。そして大勢の美人が揃っています。

一方で地獄は、ぐらぐらと燃えたぎる火があり、そこに放り込まれます。焼かれて皮膚が剥がれ、再生してはまた焼かれて皮膚がはがれる、その繰り返しが永遠に続きます。

 

神様は全てお見通しです。

そのため、悪いことをせず善行を積みます。

未来のことをすべて神様が決めます。そのため未来のことを言うときは必ず、神が望めば、と付け加えます。

人事を尽くして天命を待つ、という考えかたで、何かあっても必要以上に自分を責めず、神の思し召し、と納得するようにしています。

 

 1日五回礼拝をする、 1ヵ月間断食をする、など様々なルールがあります。また、食べていいものや悪いもの、赤ちゃんには何年くらい母乳を与えるか、普段の服装はどんなものが望ましいか、など細かい物もたくさんあります。

では、これらのルールを破って悪いことをしてしまったら天国へ行けなくなるかと言うと、そうではありません。

良いことをたくさんしたら、挽回できると言う救済策があります。

また、代理で巡礼が出来たりもします。

さらには、故意でなければ戒律を守らなくても、見逃してもらえます。

戒律が厳しい宗教だと思われがちですが、実はとても優しいのです。

 

男性の仕事は午後2時で終わります。

その後はずっとカフェで過ごします。

女性は家の中で、他の家の女性を招いたりして過ごします。

家族を大切にするため、それが一番の幸せになります。

極端な娯楽や経済などの発展は無いかも知れませんが、平穏で穏やかな幸せがあります。

 

弱者に優しくするのは良いことなので、食べ物に困っている人には施します。

女性や旅人への道案内や、奢ることはとても多いです。

 

現在の日本で暮らす私たちとは、考え方や暮らし方が全く違うようです。

しかし、導入を検討されているベーシックインカムの生徒が現在の日本で暮らす私たちとは、考え方や暮らし方が全く違うようです。

しかし、導入を検討されているベーシックインカムの制度や、他人の幸せを尊重する部分など、日本でも見習いたい、これからやろうとしている部分が多くあります。

イスラムを詳しく知らない人は、ぜひ読んでみることをおすすめします。

『サッカー観戦力が高まる』清水英斗 東邦出版

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子どもにサッカーの指導をするときに(なぜ)がキーワードになるそうです。

見る時も同じです。

なぜ、早いリスタートをしたのか。

なぜ、上手いと言われる選手がいるのか。

なぜ、パス回しが上手いと言われるチームがあるのか。

それぞれのプレーに意図があり、だから上手い下手、強い弱い、勝ち負けが出来る。

 

パスは、足元に出すのか、走っている前に出すのか、浮き玉で出すのか、などの選択肢がある。

一流のパサーだと、グランダーのパスでボールに回転をかけないことにまでこだわる。

そのためには特殊な蹴り方が必要になるが、そこまでしていることを見抜けると、俄然観ていて楽しくなる。

 

バルセロナのパス回しは、ピッチをかなりワイドに使う。

両サイドのポジションにいる選手は、サイドラインを踏むのが義務付けられているようだ。

 

フィーゴのような圧倒的なドリブラーを止めるには、守備側の戦術が重要になる。

ユベントスは、一人目が縦方向への突破を切る動きをして、センターに追い込んでボールを奪うというのを徹底していた。この際、他のDFもラインを上げてFWをオフサイドポジションに残させて、スルーパスを防ぐ事もきっちりしている。

 

執筆当時かも知れないが、中東のチームはサイドからのボールに対して、ボールウォッチャーになる傾向がある。

そもそも逆サイドでのDFは、ボールとマーカーを同時に見ることは出来ない。

そのため首をこまめに振って見る必要がある。

 

現在の日本では、一般の人でもサッカーの批評をしたり、にわか監督になったりします。

実際のサッカーの見るべきポイントは様々で、細かいところまで見ると、かなり他と差がつきそうです。

サッカー好きな人はぜひご一読を!

『ド底辺高校生図鑑』扶桑社

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偏差値が40以下の底辺高校

そこでは、とても高校とは思えない風景が広がっています。

学級崩壊や、不良が集まる高校と言うわけではありません。

ただ、学力、注意力、人間力が欠落しているだけの高校生が集まっている高校です。

 

朝、登校途中に可愛い子を見つけたら、そのまま教室に連れてきてしまいます。

 

学校内には二日酔い生徒専用の仮眠室が常備されています。女生徒は、キャバクラやスナックなどのお水系のバイトで夜中まで働いていたりします。

 

九九ができない生徒、A-Zが書けない生徒がクラスのほとんどを占めます。

テストはあまりにも点が取れないため、二択にしたり、問題文に〜なうと入れて生徒に興味を持たせようとしたりします。

 

教室や屋上で、流しそうめんやバーベキューや鍋パーティーを開催します。

 

校外マラソンを実施すると、クラスの半数以上がそのまま帰宅してしまいます。

運動会や文化祭など大切なイベントも半数が欠席してしまい、午後には中止になることもあります。

逆に学校中退した人が修学旅行や運動会などの行事に参加していることもあります。

 

 読んでいて、本当かな、と思うようなエピソードが満載です。

しかし、本書をまとめた日本底辺教育調査会のメンバーには、現役の高校教師、文部科学省関連の資料作成に携わるライター、教育問題を主催するジャーナリストが含まれています。

そのため、ある程度信頼できる内容になっているはずです。

実際にこういった高校に通っていた人たちから見たら、常識なのかもしれません。

しかし大多数の人は、かなりのカルチャーショックを受けるはずです。

 

 

『年収の伸びしろは休日の過ごし方で決まる』池本克之

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オンオフの切り替え、という言葉があります。

私はこれに違和感を感じていたのですが、この本にその答えの一つがありました。

オンオフの境目なんて無い、むしろオフタイムの方が重要なのでは無いか、というのが著者の意見です。

 

オンタイムである仕事中は、ストレスもあり大変だ、というところから本書は始まります。

そこからオフタイムを真面目に過ごす過ごし方に、話は進んで行きます。

とにかく遊びに真面目な姿勢やエピソードが紹介されますが、本当に生き生きとして楽しそうです。

 

「真剣にやれよ!仕事じゃねぇんだぞ!」

「仕事に遅刻してくるやつは許せるが、遊びに遅れてくるやつは許せない」

タモリさんの名言です。

 

著者はドクターシーラボネットプライスなどの社長を経験した、経営コンサルタントの池本克之さんです。

 

ゴルフ、マラソン、落語、ダイエット、旅行など、様々な趣味や休日の過ごし方が出て来ます。

 

オンもオフもきっちりとベストを尽くす。

楽しむ事に対しても、という事です。

そうすると、考え方、メンタル、フィジカル、振る舞い、身だしなみなど、全てにおいて気を使います。

そしてそれが、素晴らしいパフォーマンスにつながります。

 

これはビジネス書なのですが、幸せに生きるためのヒントでとあります。

充実感を得られていない大人に、是非読んでもらいたいです。

『星の王子さま』サン・テグジュペリ

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子どもの頃に読んだような、途中までしか読めなかったような、そんな記憶があります。

『君の膵臓をたべたい』を読んでいた時に、出てきました。

そして娘の部屋にあるのを思い出し、拝借しました。

 

僕が6年前、サハラ砂漠で遭難しているところから物語が始まります。

そこに歩いてきて「羊の絵を描いて」とお願いする男の子が、星の王子様です。

僕はあまり絵が上手く無いのですが、ヒツジやウワバミの絵を描きます。

王子様と一緒に過ごす1週間の間に、僕は王子様の星のことや、王子様が見てきた様々な星のことを知ります。

 

王子様の星はやっと1回位の大きさであること、活火山が2つあって休火山が1つあること、とげを四つ持つ花が一輪咲いていること、それを羊が食べてしまわないか心配していることなどです。

 

王様がたった1人で暮らしている星がありました。その王様は、何もかもたった1人で支配しているといいます。そして自分の威光に傷がつかないことを何よりも大切にしていました。

 

自惚れ男が住んでいる星もありました。

男は、人に感心されていると常に思っていました。

 

飲助が住んでいる星。

酒を飲んでいます。

王子様が、なぜお酒を飲んでいるの?と聞くと、忘れたいからさ、と答えます。

忘れるって何を?

恥ずかしいのを忘れるんだよ。

恥ずかしいって何が?

酒を飲むのが恥ずかしいんだよ。

 

実業家がいる星。

街頭に転倒する仕事をしている人がいる星。

地理学者が住んでいる星。

狐が住んでいる星。

 

様々な星に住んでいる様々な人たちと接していき、王子さまは「おとなって、ほんとにへんだな」と何度も思います。

 

最後に、砂漠を旅したぼくと王子さまは、大切な事が何かに気づきます。

 

以前読んだときには少し難解で、よく憶えていなかったのかも知れません。

確か小学低学年の頃だったかと記憶しています。

その子にもよりますが、小学校高学年くらいから読むと、面白くて良いような気がします。

 

 

『ネットカフェ難民 ドキュメント最底辺生活』川崎昌平 幻冬社新書

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正規雇用が増えています。

最低賃金が上がっているので、今後さらに雇用が減る可能性があります。

そこで、さらに増えると予想されるのがニートです。

 

物語は、主人公がニートをしている場面から始まります。

たまに、とある社長の娘さんに絵を教える、というバイトをしています。

何でそんなバイトを?と思って著者の略歴を見たら、東京芸術大学大学院出身でした。

納得です。

ある日エレベーターに乗り合わせた女性が、ほとんど体を洗っていないであろう臭いを発していた。

そこから唐突にニートを卒業して、ネットカフェで暮らすことを思いつく。

 

ネットカフェに寝泊まりして、日雇いの労働をします。

生活するには、お金が必要です。

時間は延々とあるので、逆にどうやって時間を潰そうかということを、かなり考えます。

 

カフェごとのシートの違いによる寝心地や寝方の違い。

置いてある食べ物や飲み物の違い。

パンツをいかに長く履くか、また、同じパンツを長く履いていたらどうなるか?

風呂に長く入らないとどうなるか?

皮膚の上に垢で出来た皮膚のような物が出来て、これが以外に良かったり。

性欲はどうするか?

 

幸いなことに、私は現時点でこのような生活とは無縁です。

しかし、いつ仕事などの一切を失っても、おかしくはありません。

もしもの備えに、全くの興味本位で良いので、読んでおくと良いかも知れません。

『あるある吹奏楽部ゴールド』

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吹奏楽部の人にとって頷ける、あるあるを集めた本です。

文章と漫画の2つが入っています。

 

ランニングや筋トレが多く、上下関係にも厳しい。

 

男子新入生が、女子の先輩から強引に入部させられる。

 

高校野球で試合の相手が吹奏楽の強豪校だと、試合に勝っても敗北感を味わう。

 

傘を持つとドラムメジャーの真似をする。

 

ソロ奏者の座をめぐるパート内冷戦。

 

などなど、あるあるが続きます。

途中で吹奏楽の神様とも言われる、屋比久勲先生という、名指導者の対談があったり。

千葉県立幕張総合高校オケ部の全国大会への道、の話があったり。

SKE48古畑奈和さんが、吹奏楽の話をしてくれたり。

 

私自身は、吹奏楽どころか音楽に対して恥ずかしいくらい疎いです。

初めて知るような事がたくさん書いてあって、楽しいと同時にとてもためになりました。

あるあるとしては、元吹奏楽部の人が最も楽しめるのでしょうね。