愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『万引き老人』伊東ゆう 双葉社

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あからさまにホームレスであろう風体で、悪臭を周囲に撒き散らしながら、惣菜売り場をふらつく老人。

万引きGメンである著者が見ているのに気づかずに、コロッケを素手で鷲掴みにして、店の中で人気の無い一角へ駆け込んでいく。

「それ食べたらダメですよ」

老人は半分くらいコロッケを頬張り、リスのようになっていた。

 

コロッケを食べたのは、食べるお金もなくて万引きをする人の典型例である。

しかし、万引きも色々だ。

自身の飲食店で出す為に、苺を盗る者。

病気などを抱えて、死ぬ前に、と美味しいものや嗜好品を盗る者。

割引きシールやバーコードを張り替える手口。

家族ぐるみで犯行に及ぶ者。

 

読んでいて、胸が悪くなる現場がありありと、目に浮かんで来ました。