あからさまにホームレスであろう風体で、悪臭を周囲に撒き散らしながら、惣菜売り場をふらつく老人。
万引きGメンである著者が見ているのに気づかずに、コロッケを素手で鷲掴みにして、店の中で人気の無い一角へ駆け込んでいく。
「それ食べたらダメですよ」
老人は半分くらいコロッケを頬張り、リスのようになっていた。
コロッケを食べたのは、食べるお金もなくて万引きをする人の典型例である。
しかし、万引きも色々だ。
自身の飲食店で出す為に、苺を盗る者。
病気などを抱えて、死ぬ前に、と美味しいものや嗜好品を盗る者。
割引きシールやバーコードを張り替える手口。
家族ぐるみで犯行に及ぶ者。
読んでいて、胸が悪くなる現場がありありと、目に浮かんで来ました。