愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『100分de名著 アイヌ神謡集』知里幸恵

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憑神:現代の精神医学で(潜在意識()と呼ばれるもの。

 

アイヌの世界観では、人とその他が対等に交流する社会

 

アイヌ口承文芸

ウエペケレ:散文説話

ユカラ: 英雄叙事詩

カムイユカラ:神謡 メロディにのせて、歌うように語られる

どれもカムイ視点で語られるお話

 

アイヌ(人間)とカムイ(環境全て)が適切な関係を持ち、それを崩さないのが最も幸福に生きる方法。

SDGs

 

お酒やイナウ(木幣)をカムイは最も喜ぶ。

→米や麹は和人から交易で入手、アイヌはクマやシカの毛皮を渡した

 

チャランケ(談判):揉め事は、双方の雄弁な人同士が話し合い決着をつけた。

 

シカやサケなど群れる動物はあまりカムイ扱いされない。

 

人間とカムイは対等、ひどいことをすると畑が枯れるなどの仕返しがある

 

カムイも人間にいたずらをすると罰が与えられる。

 

カムイにも格がある。

熊>オオカミ>フクロウ

 

口承の物語はストーリーが決まっている

あとはその場の即興

→毎回異なるのが普通

 

フォーミュラ「常套句」:この場面ではこれ、という決まり文句

フォーミュラをたくさん知っていれば、多くの物語に応用が出来る

 

「サケヘ」:リフレインの句、直訳するとメロディ部分のこと、主人公を表す場合もある

ハン→小さな鳥

フンパクパク→雷

アテヤテンナ→火

他でのヤーレンソーランやエンヤーコラヤーなどと似ている

 

「銀の滴降る降るまわりに」

 

カムイは精神の良い人に獲物として訪れ、悪い人からは隠れる。

 

神窓:アイヌの家の上部に開けられた窓、玄関の反対にある。カムイはそこから入る。

 

カムイの魂は人と同じ姿をしている。

 

ニッパ:狩りがうまくカムイに好かれ豊かに暮らす立派な人

「お金持ち」と訳されるがニュアンスは少し違う。

 

アイヌと和人は対等に交易していたが、江戸時代にそれが変化した。

 

アイヌを和人が武力制圧し、経済的支配下に置いた。

 

明治以降、和人が北海道に大量に流入した。

 

サケや鹿猟の禁止、タトゥー、ピアスの禁止

アイヌ文化の破壊

 

アイヌコロ:「アイヌを持つ」は「尊敬する」と言う意味意味

 

同化論:アイヌの人々が文化を捨て、和人として生きていくのが良いと言う考え

当時は多くの人がそう考えていた

 

アイヌという存在を認識してくれる人たちに「神謡集」を読んでほしい。

 

アイヌ語は、日本語とも外国語とも言い表せない。

 

サンカ:山奥や河原に住み、漁や竹細工を生業としていた。

 

木地師:山で木を切り、木工して、なくなると別の山へ移動していた

 

和人への同化ではなく「アイヌ」として、現代社会で活躍するつよい人たちの出現を望んだ。

知里幸恵はそれを願っていた。

→今まさにそれが実現しつつある。