愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『奥のほそ道』松尾芭蕉 長谷川櫂

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俳句の大家でパイオニアとも言える、松尾芭蕉の紀行文です。

数多くの有名な俳句も収められています。

 

古池や蛙飛び込む水の音

(古池)より(蛙飛び込む水の音)が先作られている

古池は現実の音に対して空想をつけたした部分

心の世界を詠んだ事は画期的

 

歌まくら:以前の歌から想像で次の歌人が詠み、積み重ねられてきた

架空の名所、実際にはない場所もある

 

霧に隠れて見えない富士山を詠む

かえって雄大さが表現される

 

閑けさや岩にしみいる蝉の声

現実の静かさではなく、宇宙の閑けさのこと

見るのではなく全身全霊で感じる

身を投じる

 

行きゆきてたふれ伏とも萩の原

現実に託して心の世界を読む

 

不易流行

宇宙は絶えず変化しながら実は不変

 

(かるみ)重くて辛い現実を微笑で軽々と生きる

はまぐりの ふたみに わかれ行秋ぞ

写実と空想とがうまく合わさって、素晴らしい世界が表現される。
それが松尾芭蕉の俳句の世界だったようです。
それで現実をも超えた物が作られていく。
それが芸術と言えるのではないでしょうか。