愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『誰も教えてくれないホストクラブの始め方・儲け方』ゆら つよし

 

誰も教えてくれないホストクラブの始め方・儲け方―お客が集まるお店のオーナーになる!

誰も教えてくれないホストクラブの始め方・儲け方―お客が集まるお店のオーナーになる!

 

 

 

ホストクラブを開店する予定はありません。

しかしブックオフで発見して、思わず手に取りました。

 

まずはホストクラブを開店するのに必要な、法的な手続きや知識が書いてあります。

ホスト用語なども必須では無いけど、知っておくのに越したことは無いようです。

太客、細客は何となくイメージ出来そうです。エースは、太客のトップで一番お金を使ってくれる人。お茶引きは、お客さんがつかない状態です。

 

ホストクラブは、深夜に営業するところが多いのですが、実は法律では12時までしか営業はいけないことになっています。

それ以降の時間は許可を取れば良いのですが、お店を開ける許可をとっても接客をする許可とはまた別なので、ホストクラブとして深夜に営業すると言う事は法律的には不可能なのです。

しかし、ホストクラブ書き入れ時は深夜の時間帯なので、どのような営業形態にするかは、オーナーに委ねられます。

 

そんなこんなで、ホストクラブ経営は色々と難しいところがあります。しかし、著者はローリスクでハイリターンの仕事だと言い切っています。それは何故でしょうか?

それはホストの給与形態にあります。

一般的なホストの給与は、歩合制のような形をとります。ホスト一人ひとりの売り上げの50%から60%を店側がもらうと言う方式です。

そのため、オーナーが赤字にはなりにくいのです。

 

物件の探し方や、交渉の仕方、内装や外装工事、店舗の名前をつけるなどは、通常お店を開業する時と大きな変わりはありません。

他の業種との違いは、その求人方法にあります。ホストクラブはなんといってもホストの質が、最も重要です。

そのため、自ら街に出て歩いている人に声をかけるような事をします。

また、知り合いのホストに声をかけて、お店を移動したい人などに来てもらったりします。

この方法はホスト業界で働いている人にしか使えないものです。

 

客層は、ホストクラブに行こうと初めから思っている人です。

その人たちが雑誌や口コミで行きたいと思ったホストクラブに、目的を持って遊びに行きます。

普通に歩いていて入ってくるような事はほぼありません。そのため、店舗は地下にあってもビルの上階にあっても、あまり変わりはありません。

ここは他の業種と違うところかもしれません。

そのため、家賃がなるべく安いテナントを探して、広告や宣伝にお金をかけると言う方法が、有効になるであろうと著者は言っています。

 

これからホストクラブ経営をしようという人には、ぜひ読んでいただきたい本です。

私は経営する予定はありませんが、他の業種で経営をしています。そのため、勉強になるところが多々ありました。

元々は、単純な興味本位でしたけどね。

読んでみて良かったです。

『池袋ウエストゲートパーク 西一番街ブラックバイト』石田衣良

 

 

 

池袋ウエストゲートパークシリーズの一冊。

地元である池袋での揉め事を解決する依頼を受け、いつも無事に解決するマコト。

自身ではトラブルシューターと言っている。メインはフルーツ屋で、母親に厳しく使われている。

シリーズも10作を超えるロングセラー。

以前には連続ドラマにもなっている。

 

今回は、美術品のギャラリー、ユーチューバー、整形、ブラック企業の話です。

いつものように、友人でGボーイズのキングであるタカシと、トラブルを解決して行きますね。

暴力的なシーンが度々ありますが、酷い拷問だったり凶器を過度に使うような事は無いので、そこまで嫌な感覚は無く読んでいく事が出来ます。

過去には、もっと酷いシーンがたまにありましたけど。

マコトたちも大人になったという事なのかも知れませんね。

 

時事ネタのような題材を扱っているお話が、度々あります。

それで、何となく世間の感じが分かる気がする事もあります。

 

昔放送されたドラマは、長瀬智也窪塚洋介、山P、坂口憲二など、そうそうたるメンバーが出ていました。

見ていた方は、当時を思い出したりして楽しさが倍増されるかも知れません。

オススメです。

 

 

『知識ゼロからの書道あそび文字入門』武田双雲

 

知識ゼロからの書道 あそび文字入門
 

 

 

小学二年生の文集に、将来は書道の先生になりたい、と書きました。

その後、書道教室はサボりがち。

大人になってから、字が綺麗になりたいと思ってペン字の練習をするような体たらくになる事を、当時の私は知りませんでした。

 

あそび文字の楽しみ方や、書き方です。

外に出て、石や枝で書いてみたり、それ自体を文字にしたり、粘土で文字を作ってみたり。

自分の名前やTシャツにデザインしても良いです。

字を綺麗に書くことにとらわれず、楽しみながら書くと良いようです。

 

まずは、基本の姿勢や筆の持ち方や墨のすりかたは、きちんとしましょう。

かすれ、にじみ、太さ、強弱、とめはね、自由に駆使できると遊びの幅が広がります。

文字の意味や感情を表すのも良いです。

大胆だったり、チカラを抜いたり。

 

目を閉じて書く、鏡文字で書く、筆の先の紐を持って書いたり。

鳥の羽根で書いてみても、新たな感覚の発見があるようです。

 

オリジナルの漢字創作。

一年の抱負を漢字で表す。

嫌な事を書いて克服する、例えば、歯磨きって楽しい、など。

感謝リスト、感謝漏リストの作成。

未来日記を書く。

これらは、是非やってみたくなりました。

 

人に贈る、作品として表現する、というのは、まだハードルが高いです。

いずれそこに到達したいです。

 

書道を習っていて挫折しそうだったり、挫折した経験がある人にオススメしたい作品です。

 

『超★暇つぶし図鑑』ARuFa

 

超 暇つぶし図鑑

超 暇つぶし図鑑

 

 

 

大人になってから、下らない事はあまりしていないような気がします。

本書は暇つぶしのために、次から次へと下らない事を、どんどんして行きます。

 

家のシャワーに美女マネキンの頭を取り付けて、美女の口から出たシャワーを浴びる状態にする。

プラモデルを作る。ただし、説明書は一切見ずに作る。すると、完成図とは違った変なシロモノが出来あがる。

もしもの時に備えて、自分の尻の大きさを計測して、把握しておく。

マネキンの頭にタイヤなどをデコレーションする。

ソバの長さを計測してから食べる。数十メートルになる。

怪我の跡などを蛍光塗料で塗る。目立つため、心配してもらいやすくなる。

 

著者は14歳の頃から、ブログで上記のような事を発信し続けています。

本書ではそうでしたが、尻がやたらと出て来ます。きっと好きなんだろうと予想されます。

 

本書の装丁は賑やかでゴチャゴチャしています。まさに中味を正確に表しています。

見ていて楽しいと思える人は、楽しいです。

 

生きているのは死ぬまでの暇つぶしだ、という誰かの言葉を思い出しました。

暇つぶしに読むには、もってこいの作品です。

暇のない大人には、オススメしません!

『つくもがみ貸します』畠中恵

 

つくもがみ貸します (角川文庫)

つくもがみ貸します (角川文庫)

 

 

 

家具や小物などが、作られてから100年経つと、付喪神と呼ばれる存在に昇格します。

自分の意思を持ち、言葉を喋るようになるのです。

 

江戸で布団や小物などを貸し出す商いをしている姉弟がいます。

そこの商売道具の中には、付喪神がたくさん。

気がつくと、付喪神同士で自由におしゃべりを始めます。

姉弟とは話さないようにしてくれているのですが、来客があるあるのに話し始めることがあるから、大変です。

変な噂が出て商売に差し障りがあるといけないので、姉弟は話し始めた付喪神を叩いたりして、何とか誤魔化さなければなりません。

また、口さがない付喪神に言いたい事を言われて、カリカリしてしまったり。

やはりガツンと叩いたり、投げたりします。

一応、神と名前のついているものを結構雑に扱っているので、読んでいて多少ハラハラしますが、姉弟付喪神はそれで良い関係なのでしょうね。

 

それにしても、付喪神は聞くことが出来て、話すことが出来ます。

言って見れば、自分の意思で話す盗聴器のようなものです。

そう考えると、恐ろしいですね。

もしも江戸時代に盗聴器があったら、というお話なのかも知れませんね。

『死ぬときに後悔すること25』大津秀一

 

死ぬときに後悔すること25 (新潮文庫)

死ぬときに後悔すること25 (新潮文庫)

 

 

 

ほとんどの人は、死ぬ間際に何らかの後悔を抱えていて、それを果たせぬままに、亡くなって行きます。

いまわの際に「もう思い残すことはない」と胸を張って言える人は、多くの人より早くから、いつ死んでも後悔しないように、問題を後に残さないような生き方をしています。

 

「タバコを止めておけば良かった」

肺癌で亡くなる人や、肺気腫で呼吸が苦しくて仕方ない人の言葉。

「人生はあっという間であった」

等しく皆が言い残した言葉。

夢を叶えられなかったことよりも、中途半端に諦めたことにたいして後悔することが多い。

些細な事柄にあれこれ心を惑わせ過ぎた。

死ぬかとからすれば、泣いたり怒ったりするほどのことはない。

皆同じように死んでいくことを知っていれば、恨んだり羨んだり妬んだりせず、穏やかに生きられた。

故郷に帰っておけば良かった。

仕事ばかりでなく、病気になっても出来るような趣味があると良い。

旅行には行っておく。

会いたい人には会っておく。

良い恋愛をしておく。

生と死について、自分なりの哲学を持っておく。

 

著者は、終末期医療の専門家です。

ホスピス医として多くの患者さんの治療に携わって来ました。

そして、それはつまり多くの患者さんを見送って来た事に他なりません。

そんな著者が聞いた、患者さんの声を綴った本書は、心というか魂の叫びのようにすら感じられます。

 

考え方は人それぞれなので、25の中にはしっくり来る物もそうでない物もあるでしょう。

しかし、本書は全ての人にとって、かなりのプラスになるはずです。

それは、人はすべからく必ず死ぬという事を認識出来るからです。

また、多くの人がそれを自分が死にそうになるまで忘れていて、それまでの生に後悔を残してしまうという事実を知れるからです。

 

死ぬ瞬間に後悔を感じてしまうのは、あまりに悲しいです。

最早、どうする事も出来ないからです。

本書は、死ぬべき運命の全ての人に、元気なうちに読んでいただきたい作品です。

 

『広辞苑一日一語』岩波書店

f:id:kazuyoshisan:20180809190239j:image

広辞苑第六版刊行記念 広辞苑一日一語

岩波書店辞典編集部編

予約特典 非売品

 

あるんですね、こんな本。

おそらく、辞典を予約して購入した人に貰える、特別な本のようです。

あたかも宝くじの高額当選者が貰えるというウワサの、あの本みたいですよね。

そちらは残念ながら見たことはありませんが。

 

一月一日は元旦。

二日は初夢。

二月二十六日は二・二六事件

全てが完全に日付に関係しているわけではありませんが、ある程度の意図を持って、一日に一語を紹介してくれます。

 

小学生の頃、パラパラと国語辞典を見るのが、好きな時期がありました。

一語ずつはお互いに関係していないのですが、ある時に全く別のところで繋がることがあったりして、とても楽しかった記憶があります。

ひょっとしたら、広辞苑を予約して購入するような人は、当時の私と同じ様な好奇心というか趣味の様な物を持っているのかも知れません。

 

本書は非売品のため、なかなかお目にかかれる人や多くないはずです。

私は、運良くたまたま図書館で発見して、読むことが出来ました。

辞典や言葉が好きな人には、オススメしたい本です。

非売品なのが残念なくらいです。