愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』三戸政和

 

 

 

 

 

老後の資金は十分にあるか。

今後どんどん平均寿命が延びて行くと予想される中で、不安を感じている人は多いのではないでしょうか。

そんな人たちに向けて、本書は書かれています。

 

著者の仕事は中小企業を買収してから、業績や経営状態を改善する。

それにより価格が上がった会社を再度売却することによって、利益を得るという仕事をしています。

著者の提言は、それに近いことをしてみてはどうか、という物です。

 

日本にある多くの中小企業は、意外に経営状態は悪くありません。

それなのに後継がいないため、倒産を余儀なくされる事もあります。

古参の社員が引き継げば良い気がしますが、大企業とは全く違います。

経営は社長しか知らないため、社長が存在しないと会社が動かないのです。

そのため、良い仕事をしている業績の良い会社が倒産してしまうという事が起きてしまうのです。

今思うと、城南電気などはその典型例だったような気がします。

また、とても細くて痛くない注射針を開発した会社も、跡取りがいないという理由で会社が存続されないと発表されたそうです。

これらの素晴らしい会社が無くなってしまうのは、日本や社会にとっても損失と言えるのではないでしょうか?

 

まだあります。

中小企業は、大企業の社員にとっては当たり前のことも、全くなされていない事がとてもたくさんあります。

単純にいうと、経営が杜撰です。

在庫や売掛や取引先を見直すだけで、利益がかなり上がる場合がとても多いのです。

 

これらは、私自身が中小企業を経営しているので、自身を顧みたり知人や友人の中小企業経営者を見ると、本当にそうだと頷けます。

 

大企業で働いてきた人達にとって、中小企業の引き継ぎは難しく感じられるかも知れませんが、可能です。

それどころか、会社の経営と買いとる人、さらには社会にとって、かなり良いことだと言えます。

 

多くの人がこれを読んで、素晴らしい会社を残して、ご自身の経験を生かして働いて、老後の資金も増やせると良いな、と思います。

 

 

 

『はじめての哲学』石井郁男

 

はじめての哲学

はじめての哲学

 

 

 

有名な哲学者がたくさん出てきます。

その中で出て来たソクラテスの言葉。

奥さんに怒鳴られた後に、水を浴びせかけられたのに、涼しい顔をして隣にいた友人に一言。

「雷の後は雨が降ると決まっているんだ」

 

奥さんがそこまで怒る気持ちが、分かる気がします。何だか同情してしまいました。

しかし逆に偉大な業績を残す人を、奥さんの怒りで哲学の出来ない環境に追いやって欲しくない気持ちもあります。

家庭の些事のせいで行動が出来なければ、偉大な哲学者として名を残す事も出来なかったはずです。

『誰も知らない名言集』リリー・フランキー

 

増量・誰も知らない名言集イラスト入り (幻冬舎文庫)

増量・誰も知らない名言集イラスト入り (幻冬舎文庫)

 

 

 

雑誌のコラムなどで、どうしてこんなに下らないエピソードがあるのだろう?と、面白いけど不思議に思うことがあります。

著者が面白いのか、取り巻く人が面白いのか?

かなり独特なエピソードと名言が満載で、とても面白い本書は、まさにそのような感じです。

 

まずは登場人物とその行動が凄まじいです。

外で食事中に落としてしまった食べ物を、汚くないから、という理由で上半分を食べる。

付き合っている女性を木刀で殴る。

フィアンセの浮気写真を発見したその足で実家に行き、その写真を叩きつけ婚約を解消する。

街中で野糞をして、その上を転がる。

学生のうちに子どもが出来て結婚をしたものの、定職につかず家庭を顧みず浮気をする。

物凄くダメな人や、ぶっ飛んだ人がたくさん出てきます。

では、そんな人達が放った名言の数々です。

 

「もうちょっとで損するところだったよォ」

「オレはここでいいからっ!!」

「これは本番ではありません」

「いいえ、木刀で」

「アタシらサービス業でやってるもんでねぇ」

「中で出してないから、ヤッてない」

「次の日は苦い」

「すみません。私とホテルに行きませんか?」

 

どうでしょうか?

不穏な空気の言葉が盛りだくさんですよね。

見ての通りで、大変下衆な内容がとても多いと言うか、全編下らないのですが、面白いという点では間違いがありません。

 

疲れたときに読んで頂きたい一冊です。

 

『心が折れそうなときキミを救う言葉』ひすいこたろう 柴田エリー

 

心が折れそうなときキミを救う言葉 (SB文庫)

心が折れそうなときキミを救う言葉 (SB文庫)

 

 

 

人生復活塾と言う形で、本書は始まります。

塾長は著者です。

本書では数々の偉人たちが出てきます。

その人たちは皆最初から順調に行ったわけではなく、様々な困難や逆境にめげずに立ち向かい、成功を収めました。

私たちが知っているのは、彼らの成功している姿や成し遂げた功績です。

しかしそれに至るまでに、普通の人であればくじけてしまったり投げ出してしまうような、困難がありました。

それらを知ることで、勇気づけられる人がいるかもしれません。

 

ジョン レノン

ビートルズのメンバーです。常に自分の味方をしてくれた母親が、かれが15歳のときに亡くなってしまいます。

同じような境遇の Paul McCartneyとバンド組んで演奏し始めます。ドイツのクラブで演奏するようになりましたが、メンバーのジョージが18歳以下であることがばれ、国外追放になります。

さらに寝泊まりしていた映画館でボヤ騒ぎを起こしてPaul McCartneyが国外追放になります。

もはやドイツでの活動を続ける事は叶わず、イギリスのリバプールに戻らざるを得なくなりました。

そんな状況から復活して、観客を魅了するような曲をそんな状況から復活して、観客を魅了するような曲バンドに成長していきました。

 

ティーブジョブス

 Apple社を立ち上げ世界的な企業に発展させましたMacintoshiPhoneなど世界に衝撃を与えるようなものを作りました。

1985年、彼は業績の悪化などを理由に、自らが創業した会社を追放されてしまいます。

次に創設した会社でコンピューターを作ったり様々な製品を世に出します。

しかしその全てがうまくいきませんでした。

それでも、同じ業界で仕事を続け、1997年ついにApple社に呼び戻されます。

そこからは、誰もが知っている通りの活躍をします。

彼はこのようなスピーチをしています。

「毎日を人生最後の1日だと思って生きていこう。そうすれば、いつのひか必ず、間違いのない道を歩んでいる事だろう」

 

おかにも、アガサクリスティー、マドンナ、エジソン本田宗一郎孫正義ガンジーオードリー・ヘプバーンチャップリンタモリ徳川家康、ベートーベンなど多くの偉人が出てきます。

それらの人々が皆、辛い経験をしています。

そんな経験からくる言葉の数々は、とても実感がこもっていて、感慨深いです。

 

人は皆、挫けそうになる事はあると思います。

今まさに何かを頑張っている人に、是非とも読んでいただきたい一冊です。

 

 

『オペラガイド』山田治生

 

オペラガイド (大人の観劇)

オペラガイド (大人の観劇)

 

 

 

マクベスオペラ座の怪人アイーダカルメンフィガロの結婚ファウスト…。

有名なオペラは数多くあります。

映画では見たことがありますが、やはり劇場で見てみたいですよね。

本書では、各オペラの筋書き、有名なオペラ劇場、オペラ鑑賞の注意点など、丁寧に解説してくれています。

 

イタリア、ドイツなどが本場と言えます。

舞台はやはりそれらの国が多いですが、19世紀の長崎を舞台とした物もあります。

蝶々夫人です。あちらでは、マダムバタフライとも呼ばれます。

こちらは日本人が主役となるほとんど唯一のオペラで、日本人ソプラノ歌手にとっての国際舞台へのパスポートちもなっています。

 

日本のオペラもあります。

夕鶴がその一つです。与ひょうとつうのお話で、鶴の恩返し、と言えば馴染みが深いかも知れません。

 

日本の本格的なオペラハウスと言えば、新国立劇場です。

オペラ、バレエ、演劇などが楽しめる劇場です。

歌手の肉声が理想的に客席に響くようになっていて、まさに劇場全体がまるで楽器のように作られています。

イタリアだと、ミラノ・スカラ座

オーストリアだと、ウィーン国立歌劇場やウィーン・フォルクスオーパー。

フランスのパリ・オペラ座

イギリスのロイヤル・オペラハウス。

ロシアのマリインスキー劇場などが、有名で素晴らしい劇場です。

 

アリアやカーテンコールなど、知っておくとより楽しめる言葉も載っています。

これからオペラを初めて見る人には、必読の書だと言えそうです。

 

 

 

 

『ピラミッドの建て方』監修 中川武

 

ピラミッドの建て方 (「もしも?」の図鑑)

ピラミッドの建て方 (「もしも?」の図鑑)

 

 

 

ピラミッドを実際に現地で見た人は、意外に大きくなかったと感じることがあるそうです。

とにかく広大な砂漠にポツンと建てられているから、そのように感じられるのだとか。

もし、ピラミッドを現在の都市部に建てたら、高層ビルと同じくらいの高さがあり裾はかなり広いので、その大きさが良くわかります。

 

古代エジプトでは、紀元前3150年から紀元前322年頃まで文明が続きました。

その中のある時期に、ピラミッドは作られました。初期は階段状、そのご四角錐と形が変わって行きました。途中からピラミッドは小さくなりましたが、葬祭殿は大きくなり内部のレリーフなどに力を注がれるようになりました。

 

建設には、水平や垂直を知る必要があり、そのための道具が使われていました。

また、腕や手や指で長さを表していたりしました。巨大な石を切ったり運んだり、頂上付近にはてこの原理を使って石を運んだり、と様々な工夫がなされています。

現代のような機械を使わずにピラミッドを作るのは、実に大変なことです。

全ての工程は未だに解き明かされてはいません。

そのため、ピラミッドは宇宙人が建てた、という説があります。

それほど古代エジプト人は素晴らしい技術を持っていた、ということなのでしょう。

 

現在でも、遺跡の発掘は続いています。

ちなみに発見されたものは全てエジプトに収蔵する決まりになっていて、国外に持ち出してはいけません。

 

他の項で、もしもジッグラトを増築したら、というものもあります。

これは、旧約聖書に出てくるバベルの塔のモデルだと言われています。

また別の項では、もしもコロッセオセリエAを呼んだら、というものも。ちなみにコロッセオでは、水をはって船を浮かべて海戦を上演したりもしたそうです。

ヴェネツィアの水が干上がったら。

マスジド・アル・ハラームに巡礼した人が東京ドームに移動したら。

東京の銀座に出雲大社があったら。

もしもエレベーターで宇宙に行けたら。

 

有名な場所や建築物が出て来て、どれも興味深いです。

大人も子どもも楽しめる内容で、老若男女にオススメ出来る一冊です。

 

 

 

 

『知識ゼロからの遍路入門』五十嵐英之

 

知識ゼロからの遍路入門

知識ゼロからの遍路入門

 

 

 

 

 

空海の伝記を読んで俄然興味が出ました。

空海弘法大師とも呼ばれる、昔の名僧です。

遍路とは、空海にちなんだ修行です。

四国にある八十八ヶ所のお寺を順番に回る、というものです。

 

お寺は四国を一周するように、ぐるりと点在しています。

 これに番号がついています。

一から周って行くのが順路です。

同行二人と言って、空海がととに歩いてくれている、といわれています。

八十八から一まで周って行くのが逆路で、坂や難所が多く大変なため、順路の三倍の功徳になると言われています。

また、空海とは何度もすれ違えると、考えられています。

 

四国とは、讃岐、伊予、土佐、阿波の四つで、

現在では香川、愛媛、高知、徳島の四県です。

一度に八十八ヶ所を周るのは数ヶ月かかり、なかなか大変です。

そのため、一国ずつ分けて周る、という方法もあります。

また、車で周ったり。

団体で周ったり。

服装も、伝統的なスタイルはありますが、むしろそこまでガチガチでは無い人の方が多いようです。

 

全て巡拝し終えることを結願とか、満願と言います。

それから和歌山県にある高野山奥の院へ詣でれば、まさに完璧です。

 

読みすすめると、自らがお遍路をしているような気になって来るのが不思議です。

そして読後には、結願したような厳かな雰囲気さえ漂って来ます。

実際には、何も成し遂げてはいないのですけどね。