愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『フランス座』ビートたけし 文藝春秋

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ビートたけしが浅草のフランス座で、芸人として修行をして足掻きながら生きていくお話です。

数十年前の浅草の様子が見て取れます。

 

著者は、芸能人のビートたけしです。

説明の必要が無いくらいの有名人ですが、もともとツービートというコンビで漫才をしていた事は、ある年齢より下の人はご存知無いかも知れません。

 

主人公は、大学生になって家を出て一人暮らしをしています。

世間では学生運動が繰り広げられていますが、それに深く参加していく分けではなく、喫茶などで過ごします。

あまり学校には通わなくなって行きます。

そして浅草のフランス座にたどり着きます。

なんとなくエレベーターボーイとして働き始め、そのうちにコントの舞台に出るようになります。

そうなると、もはや一人の浅草芸人です。

引き上げてくれたのは、深見千三郎の師匠です。

もともとは芸人になろうとすら思わずに、浅草に流れついた主人公ですが、師匠について立派な芸人を目指して努力をし始めます。

様々な芸人が売れてテレビに出たいと、コンビを組んだり、必死に足掻いている姿も描かれています。

 

以前『浅草キッド』という、同様の題材で同じ著者の著作を読んだことがあります。

好きな人は、こちらも合わせて読んでみることをおすすめします。

 

 

フランス座

フランス座

 

 

 

フランス座 (文春e-book)

フランス座 (文春e-book)

 

 

 

浅草キッド(新潮文庫)

浅草キッド(新潮文庫)

 

 

 

浅草キッド (新潮文庫)

浅草キッド (新潮文庫)

 

 

『エッセイの書き方』岸本葉子

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エッセイストをしている著者が、エッセイの書き方を解説してくれている本です。

 

エッセイは自分が書きたいことを書くものです。

もう一つ気をつける必要があります。

それは、他者が読みたくなるように書く、と言うところです。

1、読みやすい

2、興味を持ちやすい

以上2つを意識して書きましょう。

 

テーマにストレートに進まず、少し外してみましょう。

 

起承転結の転が、エッセイではとても大事です。

転を中心に書いていきましょう。

ここで読者に、へー、と言わせることができると、とても良いです。

転→起→承→結の順考えていきましょう。

 

承の部分で字数を調整しましょう。

エッセイは文字数が決まっていたり、テーマが決まっていることが多いです。

 

エッセイは3種類の文章から構成されています。

1、枠組み → 小説ではあまり使いません

2、描写

3、セリフ

 

書き出しの文章を短くしましょう。

問いかけや呼びかけでも良いです。

 

出だしで人を惹きつけることができるととても良いです。

 

エッセイは、作文とも違うし、小説とも違って気をつけるべきところや構成が、いろいろあるようです。

文章を書く手助けになるので、どんなものでも書いている人にはお勧めです。

 

 

 

『うちの子になりなよ』古泉智浩 イースト・プレス

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特別養子縁組という制度があります。

預かった子どもを6歳未満で籍にいれると、戸籍に養子と記載されず、実子とほぼ同じ扱いになる、という制度です。

 

著者は子どもが出来ず里親登録をしています。

0歳から、男の子を里親として預かることになりました。

本書では、この男の子は2歳になっています。

 

2歳の男の子と言えば、なかなかのものです。

喋るし、動くし、言うことを聞かないし。

イタズラをするし、夜寝ないし、抱っこなどをせがむとキリがないし。

まあ、大変です。

ちなみに、里親さんが体罰をするのは絶対にNGだそうです。

里親としての資格が無くなってしまいます。

 

里親さんは大変なのかと思いながら、本書を手に取りました。

しかし読み進めていくと、子育ては実子と全く変わりがないように感じました。

考えてみたら、昔は家を存続させるるために、養子がとても多かったのですよね。

うちの祖父も養子だったと聞いています。

血縁は大事かも知れませんが、愛情の方がもっと大事なような気がしました。

今後も、ご家族みなさんで幸せに過ごすことを願ってやみません。

 

『どうしよう』壇蜜

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壇蜜さんのエッセイ。

テレビに出ているのを見て、賢い人かな?程度のイメージを持っていました。

冒頭で著者は述べています。

 

昭和生まれ、女子校育ち。

副業なしで壇蜜として勤めて5年。

人生は"どうしよう"の連続だ。

 

一つ目から「恋人を呼び間違えて」

かなりのインパクトがあるタイトルです。

次は「酸いも甘いも常識も知らず」

色々な経験を経ているように見られるが、それほどでは無い、どころか常識さえ無い。

しかし、女子校については詳しい。

 

7年前からブログを始めて、継続している。

努力家なのか、きちんとしているのか、惰性で続けているのか。

そんな色々なイメージを抱かせるような文章が続きます。

派手ではなく、穏やかな日常を過ごしている様子が描かれていきます。

その中で、読んだ漫画の話が出てきます。

主人公が女性からゼラニウムを贈られます。花言葉は、なんて器用なの?です。

意図は二股の恋を疑っての皮肉なのですが、主人公は考え違いをします。

オレって、手先が器用だもんね!やったー!褒められてる!

 

この漫画、原作で全巻揃えたしアニメも見ていました。

ほぼ同年代なんですね、壇蜜さん。

なんだか親近感がわいて、ファンになってしまいそうです。

 

 

 

『定年まで待つな!』成毛眞

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現在から未来の日本は、かなり厳しい状況になっていることが予想されます。

そしてそれは、ほぼ間違いの無い事実です。

特に今のミドルエイジには、相当に厳しい未来が待っています。

そこで、これからどのようにして行ったら良いか、それを著者が提案して行きます。

 

今後の日本は高齢者がどんどん増えてきます。

それに伴って、老々介護が増えます。

そもそも働く人がどこでもみんな老人です。

病院や介護施設は長蛇の列で、まともなサービスを受けられる可能性は低いです。

年金も減るのも間違いなく、医療費の自己負担は増えます。

消費税は30〜40%に増えるかも知れません。

場合によっては、ハイパーなインフレを政府が仕掛ける可能性もあります。

 

資格が必要な職業はテクノロジーの進歩により、ほとんどが不必要になります。

多くの人が、有利な転職を考えると良いです。

地方の中小企業が狙い目です。

老舗の企業や異業種や海外勤務など、色々選べます。

プログラミングはある程度身につけておきましょう。

第一印象を良くしましょう。白髪を染める、スーツくらいはジャストサイズにするなどもおすすめです。

ちなみに語学力がなくても海外で働くことは出来ます。現地で習得したり、ビジネスの会話だけでも身につけるという方法もあります。

 

趣味を副業にするのも良いです。

盆栽を長い期間育てると、かなり高額に売れる可能性があります。

メダカ、昆虫、サボテンは、交配により珍しいものが出来ると億単位で売れることもあります。

 

今後は様々なことが大きく変わります。

そして、稼ぐ方法も大きく変わります。

生活の仕方や生き方も、相当です。

これからの世界で良く生きていくには、多くの変化に対応できる必要があります。

本書は、多くのミドルエイジの指針になるはずです。

 

『イニシエーション・ラブ』乾くるみ 文春文庫

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小説を読むのを、なるべく控えるようにしています。

なぜなら、一度読み始めて楽しくなってしまうと、寝食を忘れて読み続けてしまうからです。

しかし、そうは言ってもねが好きなので読んでしまい、ついつい楽しくなってしまうんですよね。

本作品は、そんな小説でした。

 

A面

鈴木は垢抜けない大学生。

慣れない合コンに参加することになり、成岡繭子と出会う。

時代は1980年代で、電話や待ち合わせや、喫煙や、クリスマスの色々など、今と全然違うということを楽しめる。

出会い、鈴木の変化と2人の恋愛が進展して行く様子が、描かれて行く。

 

B面

新社会人になる鈴木。

静岡から東京に出向するため、成岡繭子とは遠距離恋愛になる。

東京では寮生活をしたり、残業をしたりと、なかなか忙しい。

それでも恋人と懸命に上手くやって行こうという様子が描かれて行く。

 

文庫本の裏表紙に、最後から二行目で、それまでと全く違った物語に変貌する。と、書いてあります。

そこが興味をひいた所でした。

所々で何となく違和感を感じていたのですが、その理由がわかりました。

 

これは本当に怖い話です。

読んだ人と語りあいたい、と思う内容でした。

 

 

イニシエーション・ラブ (文春文庫)
 

 

 

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

 

 

 

 

 

 

『靴磨きの本』長谷川裕也

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靴磨きについて書いてある本です。

皆さんは、ご自身の靴を磨くことがありますか?

しないという人が多いようで、面倒であったり、必要と感じなかったり、安い靴だからであったり、買い換えたり消耗品だから、という理由だそうです。

 

著者は、青山で靴磨き専門店を営んでいる、職人さんです。

最初はやり方もよく分からないままに、100均で買った道具を使用して路上からスタートします。

そしてついに「君の靴磨きはへたくそだから、他の靴磨き屋さんの所行って勉強したほうがいいよ」と言われてしまいます。

そこで著者は、長年靴磨きをしているおじさんのやり方を観察したり、同じ道具を買いに行ったりと、研究を始めます。

実際に地震の靴を様々な靴磨き屋さんに磨いてもらったり、靴磨きの書籍を買い漁ったり、イベントやセミナーに行ったり、講習会に行ったりもしました。

さらに、中古の革靴を煮たり焼いたり、レンジで温めたり、こういった実験を繰り返したりとありとあらゆる努力をします。

 

靴は履き潰すのではなく、10年以上付き合える相棒を見つけられると良い。

日ごろのケアや簡単な補修をできれば、靴に手をかければかけるほど、長い付き合いが続いていく。

場合により50年履き続けることを目指せる。

 

長く付き合う靴を選ぶには、30,000円前後のものが良い。

本革で、スムースレザーがオススメ。

やはり定番デザインが長くはけて、修理できるような製法であればより良い。

お店でプロの知識を借りながら正しくフィッティングすると良い。足のサイズは1日の内でも変わるので、むくんでいる時間帯に試着するのがベター。靴に合わせる予定の靴下を履いて試着する。

 

靴を買ったら、まず1回磨く。その後は月に1度のペースで磨く。さらに履き方やしまい方にも気を配ると、長い付き合いをしやすい。

 

基本の靴磨き。

1、紐やバックルを外す。シューツリーを入れる

2、埃を落とす

3、クリーナーで拭き取る

4、クリームを塗る

5、クリームを馴染ませる

6、余分なクリームを拭き取る

7、ワックスを塗る

8、水をつけて磨く

9、磨きを繰り返す

10、最後は水だけで磨く

完了!

9の磨きを繰り返す工程では、味覚ほどに艶が出てくるので、好みのツヤになるまでこの工程を繰り返す。

 

他にスムースレザー、ガラス革、エキゾチックレザー、スエード、革小物まで、磨き方が書いてあります。

 

靴が綺麗だと、実際に気持ちが良くてテンションが上がります。

この本は、特に革靴を履くことがある人に買って、実践していただきたいです。

 

 

靴磨きの本

靴磨きの本