愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『君はどこにでも行ける』堀江貴文

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狭い刑務所に閉じ込められていた著者が、出所してから三年。

この間にかなりの回数や数の海外や都市を見聞して周りました。

 

中国、韓国、シンガポールベトナム、インドなどのアジアでは、日本がもはや周辺地域より上だと考えてはいけない、という事が分かります。それぞれどの国も、特色や勢いがあり、日本が学ぶべき点がたくさんあります。

 

アメリカ、スペイン、オーストリアイスラエルなどは、成熟している部分などが、これからの日本の未来を考えるお手本であったり、材料になりそうです。

ちなみに、あと少しの縁でイースター島が日本の領土になっていたかも知れない、という話はとても興味深かったです。

 

著者は、ビジネスを始める、発展させる、などの建設的な視点で見るので、様々な可能性を感じることが出来て、とても楽しいです。

これからの日本も、世界も、目が離せない気がしました。

 

 

『幸福な生活』百田尚樹

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最後に恐ろしいオチがある短編集です。

 

母の記憶

アルツハイマーの母が度々話す虚言が、恐ろしいことになる。

 

夜の訪問者

男が家に帰ると、妻と不倫相手が家の中で談笑していた。

この事態は、どのように解決するのか?出来ないのか?

 

現代版とも言えるかも知れない、雪女

 

ママの魅力

太っているママ。パパはそのままでいいと言うけど、ぼくはもう少し痩せた方が良いと思っている。

しかし、本当の魅力が明らかになると…。

 

どれも最後まで目が離せません。

というか、最後が楽しみで仕方がなくなります。

表題の幸福な生活も、大変秀逸です。

『おちゃめに100歳寂聴さん』瀬尾まなほ

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瀬戸内寂聴さんのところに就職した、若い女性。場所は草深い地方のお寺です。

 

数十歳の年齢差がある二人ですが、住み込みの仕事なので、ほとんど一日ともに過ごします。

うまくいくのか心配しますが、それは杞憂でした。

 

寂聴さんと著者のやりとりが度々出てきます。

それは女子と女子の会話であり、歳の差をほとんど感じません。

お互いに遠慮なくものを言いあっているように見えることもありますが、実際にはとても相手を思いやっていることも感じられます。

 

このような関係の相手を得る事は、通常はなかなか難しいと思います。

だからこそ、とても貴重な作品ができたのかもしれません。

自分が100歳の時に、こんな相手が側にいたら、とても楽しい気がします。

 

『多重人格者』

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多重人格は、精神疾患の一つです。

現在の正式な名称は、解離性同一性障害、とされています。

以前は、精神分裂病、と言われている時期もありました。

 

この疾患は、一人に対して複数の人格が現れる、というような物です。

元々人は多面性があるため、人格の違いが様々な場面であったとしても、全てが疾患と判断される訳ではありません。

上司に対してと部下に対してとで、全く違った態度を取る人などがそれにあたります。

状況により使い分けられるのは、疾患ではありません。

 

統合失調症などとの鑑別も必要です。

また、別人格のときに自殺を図るケースもあり、場合によってはかなりの注意が必要です。

 

文学や映画などでも題材にされることがある疾患なので、有名なのは確かです。

しかし、あくまでも物語での疾患です。

現実の疾患との間には、大きな隔たりがあります。

解離性同一性障害を正確に理解するのに、とてもためになる一冊です。

 

 

 

『少女はなぜ逃げなかったか』

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ある男が、当時小学生だった少女を誘拐する、という事件がありました。

この事件とは関係無く、警察が男の家に踏み込み、事件が発覚しました。

発生から9年後のことです。

少女は実に9年もの長い間、男の家に監禁された生活を、余儀無くされたのです。

男は体重100キロを超す巨漢。

発覚を恐れた男により、立ち上がることや部屋から出ることを、全くさせてもらえませんでした。

お前の家はもうないぞ、という嘘も吹き込まれ続けました。

 

男にどこまでの知識があったかはわかりませんが、少女はマインドコントロールを受けていました。

それにより、逃げられないと思いこまされていました。

さらには、全く動きを封じられた生活のため足の筋肉が落ち、救出時には自力で階段を下りられなかったそうです。

つまり、身体的にも逃げられなくされていたのです。

 

なぜ逃げなかったの?

そう思ってしまうかもしれませんが、それは酷なんだという事が、よく分かります。

逃げられなくされていた、ないしは逃げることが出来ないようにされていたのです。

 

壮絶な9年間です。

読んでいて気分が悪くなるかも知れません。

しかし、犯罪被害者を本当に労わる気持ちが、必ず芽生えます。

 

『東京奇譚集』村上春樹

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少し不思議な話を集めたものです。

 

ずっと疎遠になっていた姉と弟が、不思議な縁でまた交流をするようになる(偶然の旅人)

 

息子をサーフィン中の事故で失った母親が、その場所で過ごす話(ハナレイ・ベイ)

 

自分の名前を忘れてしまう女性。それは病気ではなく、盗難事件だった(品川猿)

 

どれもとても奇妙な話です。

それでも、荒唐無稽ではなくしっかりと読むことができます。

本を読むことで、別の世界に迷い込んでいくような感覚。

日常を離れてみたい時に読んでみるのしっかりと読むことができます。

本を読むことで、別の世界に迷い込んでいくような感覚。

日常を離れてみたいときに読んでみると良いかもしません。

『金持ちだけが持つ超発想』藤田田

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著書はマクドナルドを日本で始めた経営者です。

まだハンバーガーというものが日本に無かったときに、マクドナルドを銀座に作ります。

 

もともと当時の日本には、ファーストフード店自体が無かったので、周りからは必ず失敗すると言われます。

順調に売り上げが上がっている最中でさえ、取引銀行から、融資を断られたりします。

 

ただ何もなく売れる訳ではありません。

著者は売り上げを伸ばすために、ありとあらゆる仕掛けをします。

女性の店員さんに笑顔でサイドメニューをオススメしてもらう。

カウンターの高さをポケットから小銭を出しやすい高さにする。

店名を日本語で言いやすいように、海外とは発音が異なる、マクドナルドとする。

ただのハンバーガーではなく、マクドナルドハンバーガーと名付けて販売する。

 

著者は、ありとあらゆる売れるためのアイデアを出して、実行して行きます。

しかも、それだけではありません。

社員になるべく経済力をつけさせたり、海外での経験を積ませたりということも積極的に行います。

さらには、日本人がハンバーガーを食べることにより、海外で活躍したり、海外の人たちとも対等に渡り合えるようにしようと本気で考えています。

 

しっかりとした理念があり、考えるところから惜しみない努力をしている著者のマクドナルドは、売れるべくして売れたんだと思えてきます。