愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『少女はなぜ逃げなかったか』

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ある男が、当時小学生だった少女を誘拐する、という事件がありました。

この事件とは関係無く、警察が男の家に踏み込み、事件が発覚しました。

発生から9年後のことです。

少女は実に9年もの長い間、男の家に監禁された生活を、余儀無くされたのです。

男は体重100キロを超す巨漢。

発覚を恐れた男により、立ち上がることや部屋から出ることを、全くさせてもらえませんでした。

お前の家はもうないぞ、という嘘も吹き込まれ続けました。

 

男にどこまでの知識があったかはわかりませんが、少女はマインドコントロールを受けていました。

それにより、逃げられないと思いこまされていました。

さらには、全く動きを封じられた生活のため足の筋肉が落ち、救出時には自力で階段を下りられなかったそうです。

つまり、身体的にも逃げられなくされていたのです。

 

なぜ逃げなかったの?

そう思ってしまうかもしれませんが、それは酷なんだという事が、よく分かります。

逃げられなくされていた、ないしは逃げることが出来ないようにされていたのです。

 

壮絶な9年間です。

読んでいて気分が悪くなるかも知れません。

しかし、犯罪被害者を本当に労わる気持ちが、必ず芽生えます。