東野圭吾さんのショートストーリー集です。
以前から色々な著作を拝読していて、大好きな作家さんです。
中でも『白夜行』が秀逸で、本当に楽しく読んだ記憶があります。
一話目は、町内の人物同士の殺人未遂事件。
ところが、警察を始め登場人物がみんないい加減でゆるい。
事件では脇役のはずの目撃者が、一番真面目だというお話です。
著者の作品は殺人事件などのシリアスな物が多くてどれも面白いのですが、この話のようにユーモアのある作品もあります。
こちらも、それはそれで楽しめます。
猫の珍しい品種を繁殖させて、儲けようとするお話。
込み入った謎があるようなスリリングなお話では無いのですが、展開や結末が面白いです。
遺伝や猫に興味がある人は、より楽しめる内容です。
クリスマスに厄介な男女のもつれを清算させるべく、完全犯罪で殺人を目論む話。
被害者は常に可愛そうなのだが、とりわけこの話の被害者は哀れを誘う。
父と子の確執を描いた話。
役者を目指してアメリカへ渡った息子と、代々の仕事を継がせたい父親。
親は子どもの幸せを願うが、それだけではない感情もあり、なかなか純粋に役者の夢を追う息子を応援しにくい。
それぞれの話はバラバラだが、全て読み終えると、何となく清涼感を感じた。
ミステリーや東野圭吾さんを好きな人は、やはり読んでおいた方が良い作品であろう。