愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『世界の歴史 12』

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学研まんが世界の歴史、いよいよ最終巻です。

 

まずはガンディーの生涯を描きます。

そこでは南アフリカの原住民差別に加えて、インド人まで連れてきて差別しようという恐ろしい構造が出てきます。

インドに行くと、ヒンドゥー教徒イスラム教徒の対立も問題となります。

 

社会主義国家が出来て無くなっていくまで。

兵器の開発だけでなく、宇宙開発でも争うアメリカとソ連

その冷戦がついに終結します。

 

それでも原発やテロや貧困や人種差別は、未だに無くなっていません。

 

世界は良くなったのか?

変わらないのか?

それは人によって様々な見方が出来そうです。

これから先、どんな歴史が作られて行くのか。

良くなったと、多くの人が感じられることを、願って止みません。

『真剣師 小池重明』団鬼六

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真剣師という職業があったというのは知っていました。

賭け将棋を生業とする人たちのことです。

これらの人たちは、昭和の昔に存在していましたが、今はいません。

なぜプロ棋士ではなく、真剣師なのか?

プロとアマの違いは?

将棋のプロになるのは東大に入るより難しいというけど、本当か?

本書を読めば全てわかります。

 

それにしても、主人公の小池重明

あだ名は『新宿の殺し屋』です。

飲む打つ買うの三拍子、どころか、人妻との駆け落ちをする。恩人のお金を盗む。暴力を振るう。二日酔いというか、ほとんど酔った状態で対局に臨む。

とにかくメチャクチャです。自身でも性格破綻者と言いますが、その通りです。

ヤクザになっておけば良かったと後悔する場面が出てきますが、そんな後悔をする人は、まずいません。

それでも人好きのするように振る舞ったり、女性と駆け落ちするほどモテたりと、魅力のある人間だということは否めません。

そして何よりも、その将棋の強さです。

尋常ではありません。

もう少し何かが違えば、日の当たる所で活躍できた、それも歴史に残るような棋士になれたはずです。

そんな所が、われわれ読者にとってダークヒーローのような、奇妙な光を放って見える所以でしょう。

『サイコパス』中野信子

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サイコパスと言えば『羊たちの沈黙』などのレクター博士が有名です。

 

人を殺すことに全く罪悪感を持たない。

およそ人間的な感情が無く、そのため相手の気持ちに共感することが出来ない。

恐怖、緊張、不安を感じにくい。

常習的な嘘つき。

傲慢で尊大で批判されても懲りずに折れない。

 

人口にたいして1%の割合で存在している

 

脳自体が正常と異なっているため、効果的な治療はない

 

頭がよく見られたり、勇気があると見られたりする

 

相手の心を掴むのが上手い

 

プレゼン能力だけ高くて、仕事は伴わなかったりする

 

意外に多くいるんだな、というのが一番の驚きでした。

そうすると、あいつはヤバいな。

そう思っていた人物は、サイコパスだったんだと考えたら、わりと説明がつきそうです。

ある意味99%の人間とは、別の生き物と考えることも出来ます。

許容できるかは、その行動によるので難しいかも知れませんが、上手く共存は出来るのかも知れません。

いや、そのために多くの人が、知っておくべきなのかも。

『中国語スタート!』

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中国語の基礎の基礎と銘打った本です。

雑誌サイズの大きさと薄さで中身も同様です。

韓流ドラマやスターから韓国語学習に入る人がいます。

本書では、金城武などの出る映画の紹介があり、学習しようという気分が盛り上がります。

 

これを見て始めるもよし、学習に飽きたところでやって見るもよし。

かなり初歩的な内容なので、本当の初心者におすすめです。

『生き物の死にざま はかない命の物語』稲垣栄洋

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農学博士である著者の専門は雑草生態学です。

同名の著書があり、本書はその続編です。

 

極寒のなか絶食をして卵を守り続けるコウテイペンギン

一年半の子育てを繰り返すツキノワグマ

生まれてから屠殺されるまで自由がないウシ。

 

今回は死にざまだけでなく、生きざまとも言える部分がかなり書かれています。

 

また、寄生生物に侵されたカタツムリ、カマキリ、アリ。

本当に悲哀に満ちた物語と言えます。

それを農学博士の視点から、また、文学的な筆致も用いて書かれている本書は、様々な意味で読む価値のある一冊です。

 

 

『おいしい昆虫記』

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昆虫を食べる。

普通の人にはかなりハードルが高い行為です。

それを著者はひょんな思いつきから、超えていきます。

普通の人は、それが無いのですけど。

 

カマキリのお腹は、食べたムシが入っていてジャミジャミしている。

 

バッタはバッタ味。

 

そして、やはり食べるのですよね、ゴキブリ。

 

読む分には良いのですが、わたしは食べようとは思えませんでした。

読むのもダメな人もいるかも知れませんが。

しかし、本書を読むと、新しい世界を知れるのは確かです。

『道警刑事サダの事件簿』菊池貞幸

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北海道の警察官として働いていた著者。

江別署でも働いていた熱血刑事です。

よく小説などに出てくる殺人事件や、巨額の詐欺や窃盗事件は出てきません。

それでも、一人一人の市民と向き合い、事件になる前に防ぐというのが警察官の任務にもなるのであれば、著者は間違いなく良い警察だと言えます。

ひょっとしたら、本書を読んで警察官を志す若者がある程度いるのかも知れませんね。