
怒羅権(Dragon)―新宿歌舞伎町マフィア最新ファイル (文春文庫)
- 作者: 小野登志郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/04/10
- メディア: 文庫
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2012年に出版された書籍です。
著者は歌舞伎町をうろつく日本人のライター。
歌舞伎町に生息するアウトローたちを取材して、それぞれの考えや行動などを炙り出して行きます。
タイトルにある怒羅権とは、日系残留孤児の二世や三世を中心とした、暴走族のグループです。
中には本書にも登場するように、純粋な日本人もいます。
グループ名の怒は日本人に対する怒り、羅は団結、権は権利を表しています。
あちこちの土地に支部があり、それぞれは独立した組織として存在しています。
そのため、別の支部同士の人間は顔見知りでも無く、お互いの間でトラブルが起きることもあります。
それぞれの支部でも相当数のメンバーがいて、その実数を把握するのは困難です。
抗争の際には数が力になります。
そのため、ヤクザや同種の勢力である、関東連合からも恐れられています。
途中で支部を一本化した組織を作ろう、という動きが出てきます。
しかし、雑多で様々な人間が集まる組織を束ねるのは、おそらく不可能だろうと言われます。
怒羅権とは何なのか?
警察はチャイニーズドラゴンと名付けて、外国人犯罪専門の取り締まりを行う課が、担当しています。
ヤクザ組織との大きな違いは、親子という縦の繋がりでは無く、横の繋がりの組織だという点です。それにより、人数が集まりやすかったり、全てで纏まりにくかったりするのかも知れません。
残留孤児の二世や三世にとって、ある意味で日本は異国です。
そこで生活していくには、同胞同士何らかの形で助け合う必要があります。
怒羅権はそれの1つの形なのかも知れません。
真っ当な仕事をしている人もいれば、ヤクザのなっている人もいて、マフィアになっている人や、それらのどれとも言えないけど、カタギとは言えないような人もいる。
著者は怒羅権を、無国籍の ごった煮と表現します。
この組織というか、メンバーは、なくならないだろうと著者結んでいます。