麻薬取締官、通称マトリとして、長年第一線で活躍してきた著者。
マトリは厚生労働省の管轄で、覚醒剤や大麻やLSDなどの、各種麻薬に絡んだ犯罪を取り締まるための専門組織です。
マトリは全国で、300人ほどいます。
公務員試験を受けて入職する場合と、薬剤師の資格を取得して採用される場合の、二つのルートがあります。
日本では、覚醒剤の取り引きが多いです。
海外で大麻が合法になっているのは、取締りきれずにマフィアに資金が流れるのを防ぐため、という苦肉の策と呼べる部分があります。
脱法ドラッグが流行したときに、普通に店舗を構えて販売しているお店がたくさんありました。
現在は全て摘発されていて、店舗はありません。
ドラッグは再犯率が高く、立ち直るには周囲の助けがもても大事です。
大阪の西成で、かなり危険な思いをしながら、覚醒剤の中毒者や売人を挙げていた、若い頃の著者。
そんな経験から、俺たちは猟犬だ、という言葉が出ます。
危険ドラッグの取締りで賞を賜ることになり、天皇陛下から「国民を危険ドラッグから守ってくれてありがとう」という言葉をかけて貰います。
著者らの長年の働きが、目に見える形で報われた瞬間だと言えるかも知れません。
私は、薬学部入学を考えたことがあります。
ひょっとしたら、マトリとしての人生があったのかも知れない、そう思いながら読みました。
かなり刺激的な仕事のようです。