愛すべき本たちの備忘録。たまにかたい本も。

様々な書評です。参考にして頂けると幸いです。

『知識ゼロからのダライ・ラマ入門』長田幸泰

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チベットの指導者で国家元首でもある、ダライ・ラマの入門書です。

 

チベットは、中国の西にあります。

中国はここを自らの領土としたい、チベットの人たちは独立を守りたい、という事で現在難しい地域となっています。

 

チベットでは、チベット仏教が盛んです。

もともと仏教は、インドでお釈迦様が始めて、周辺にも広まって行きました。

しかし、そのうちにインドではヒンズー教が盛んになって、仏教は廃れてしまいました。

一方で、中国や日本に仏教は伝わり、広まって行きます。ただし、途中で各国で他の宗教の影響を受けて、原始仏教とは、少し離れて行きます。

チベットには、ある程度変化をした大乗仏教が伝わり、大きく分けて四つの宗派になりました。

 

ダライ・ラマとは、チベット仏教の最高位にあたる僧侶です。

チベットの地を守る観音菩薩の化身だと信じられています。

どうやって選ばれるかというと、代々生まれ変わったダライ・ラマを見つけ出す、という方法が採られています。本書で扱われているのは、ダライ・ラマ14世です。

血族の世襲制でもなく、選挙のように選出するものでもない、という点が独特です。

 

ダライ・ラマ14世は4歳で見つけ出されてから、お寺で高僧の教えを受けて育てられた。

15歳の時に中国軍が侵攻して来たため、予定より早く国家元首に選ばれた。

その後中国軍とチベット民衆が衝突しそうになり、それを避けるためにインドに脱出した。

 

チベットでは中国による占領が進み、教育などから中国式のものに変えられてしまった。

ダライ・ラマらは、亡命先でチベット難民社会を作り、チベット式の教育が受けられるようにしている。

中国に対しての行動は、非暴力、である。

マハトマ・ガンディー、キング牧師、アウンサン・スーチーなどと同じ方法で、1989年にノーベル平和賞も授与された。

 

自然体で柔軟で気さくな人柄です。

世界各地を飛び回って、精力的に活動しています。

領土問題、宗教、生き方、などなど様々なエッセンスが詰め込まれていて、得るものは多いはずです。